提案
二人でベットに入り、身を寄せ合う。
「瑠海」
まだ聞き慣れない、いつもと違う声で名前が呼ばれる。
──「うん」
顔を近づけて、唇を重ねる。
伝わってくる体温が心地良い。
唇を離すと、楓と目が合う。
「おやすみ」
「……おやすみ」
新しい生活が始まってから二週間ほど経つ。
あの日から、私達は頻繁にキスをするようになった。
でも、私達はまだ恋人同士ではない──と思う。
こうしてキスをしていても、まだ楓に気持ちを伝えられていない。
「パートナー」という私達の関係は、はっきりとしないままだ。
親友以上ではあると思うが、恋人以上なのか未満なのかはわからない。
出そうになったため息をこらえて、私は目を閉じた。
「瑠海」
「んぅ……」
「おはよう」
「……おはよう」
朝、楓の声で目を覚ました。
「朝ごはんできてるから、顔洗ったら一緒に食べよ」
「ありがと」
ベットから起き上がって、洗面所へ向かう。
今日はいつもより多く寝てしまったようだ。
顔を洗って二人で朝食をとる。
前のグラノーラがなくなってからは、朝にも少し料理をするようになった。
「一緒に起こしてくれたら良かったのに」
「気持ちよさそうに寝てたから、起こしにくくて」
「明日からは一緒に作るからね」
「うん、わかった」
朝食を食べ終わって立ち上がろうとすると、私のスマホが鳴った。
画面を見ると、新しくメールが届いていた。
「真奈さんからだ」
「何て?」
「『今日の昼頃そっち寄るね』だって」
「おっけー」
私はメールで「わかりました」と送った。
昼食もとってしばらくすると、連絡通り真奈さんがやって来た。
「二人とも、新しい生活には慣れた?」
私達の前に座った真奈さんに質問される。
「はい、ちょっと暇ですけどね」
私がそう答えると、楓も頷いた。
「そうだと思って、今日はちょっとお話がありましてね」
「?」
「うちでバイトしない?」




