バレンタイン・前編
「ねえ、楓」
「なに?」
隣に座る楓に話しかける。
「明日ってなんの日?」
「えーと、今日が2月13日だから……あっ、バレンタインデーだ」
「そう、だから明日一緒にチョコ作らない?」
そう、2月14日はバレンタインデーだ。
愛や感謝を伝えるために、チョコレートを贈ったりする日である。
友チョコという言葉もあるのだから、パートナーチョコがあっても良いだろう。
まぁ私は本命だが。
「いいね、どういうの作るの?」
「作るの初めてだし、チョコ溶かして固める感じかな」
トリュフなどはお洒落だけれど、作る難易度も少し高いだろう。
形が決まっている作り方なら失敗もしなさそうだ。
「じゃあ型もいるね、今からでも買いに行っとく?」
「そうだね、じゃあ溶かすチョコも今日買っとこっか」
私達はチョコを作るための諸々を買うために、一駅隣のところにあるデパートに来た。
100均でも揃えられるだろうが、作るならば良いものを使いたい。私達は形から入るタイプなのだ。
デパートの生活雑貨を扱うお店に入る。
製菓コーナーに行ってみると、かわいらしい装飾がされていた。
バレンタインシーズンだからだろう。
ピンク色のハートの飾りがかかっている。
「ねぇ瑠海、溶かすチョコもけっこう種類あるよ」
「ほんとだ、同じような感じだけど……」
棚には同じような形のチョコが入った袋が数種類並んでいる。
「あっ、これは?いちご味」
楓がさす袋には、ピンク色のチョコの円盤が入っていた。
あの中からテキトーに選ぶよりは良いだろう。
「いいね、かわいいしそれにしよっ」
頷いて袋をカゴに入れる。
「あとはゴムヘラと、型だね」
「ヘラは一種類ぐらいしかないけど、型の形は何種類もあるから迷うよね」
「だよね」
楓にはそんなことを言ったが、実際は製菓コーナーに来たときからずっと目がそっちにいっている。
“本命のあの人へ”というキャッチコピーが書かれたハートの型だ。
勇気をだして提案してみようか。
二人で並ぶ型を見る。
「ねぇ楓、この型どう?」
私はひとつの型をさす。
「おぉ、いいかも。それだったらいろいろ作れるしね」
私は型の袋を手にとる。
星や花の形をしたへこみのあるものだ。
まぁ、うん。ハートも入ってるし。チキってないっす。
バレンタインは前編後編に分けますが、特に深い意味はないです




