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第一夜 はらぺこバクさんのご来店!

童話風に書いてみました。気が向いたら続きます。

お空のずっとずうっと上の星がきらきらと輝く場所にあるお店『夢中屋』は、いろんな人の見たい夢を売っています。

空を飛ぶ夢、お菓子をたくさん食べる夢、遊園地で遊ぶ夢、欲しいものが手に入る夢、お金持ちになる夢など。

夜空に浮かぶ星のようにキラキラと光るさまざまな夢が、小瓶に入って売ってありました。 けれども全然お客さんが来ない。そのため店主である魔女のヨイさんは困っていました。


「これじゃあ、今日も売れないなぁ。このままだと夢が余っちゃうな。」


ヨイさんがはぁ、とため息をついていると、お店に誰かが訪ねてきました。

久しぶりのお客さんにびっくりしながら出ると、お腹を空かせたバクさんがいました。


「おい!魔女!オレは腹が減っている!!とびきり美味しい夢を食わせろ!!」


バクさんはヨイさんを見るやいなやそう言いました。ただ、ヨイさんは困ったように話します。


「ですがねバクのお客さま。ここにある夢は全部売り物なので、そう簡単にはあげるわけにはいかないのです。」


「うるさい!早く夢を食わせろ!!」


ヨイさんは少し考えたあとこう言いました。


「では、これから十日間、このお店のお手伝いをしてくれませんか?そうしたら、お給料として毎日夢をお客さまにお渡しします。良いでしょう?」


バクさんは勢いよく返事をします。


「それで夢をくれるのか。わかった!たくさん働いて、たくさん夢をもらうぞ!!」


次の日からバクさんはお手伝いをし始めました。

ですが、今まで働いたことがなかったので失敗ばかり。

本棚を倒してしまったり、新しい夢のレシピに水をこぼしてダメにしてしまったり。

ヨイさんにも怒られてしまいましたが、毎日ごはんとして夢はくれていました。バクさんはとても、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。


そうして、バクさんの気分が落ち込んでいた四日目の日。間違えて売り物の夢の小瓶を割ってしまったのです。


「どうしよう。またヨイに怒られるぞ……。」


そうバクさんが不安になっていると、大きな音に気づいて駆け寄ってきたヨイさんは、焦りながらバクさんの前に来ました。

バクさんは怒られることを覚悟して目をつむりました。


すると、

「バクさん!大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」


聞こえたのはバクさんを心配する言葉でした。 バクさんがなぜ怒らないのか疑問に思っていると、ヨイさんは


「片付けは私がしますので、バクさんは奥の部屋で休んでいてください。」と言って片付けを始めました。


バクさんは言う通りにトボトボと奥の部屋に行ってソファで休んでいましたが、しばらくすると疲れからかすぐに寝てしまいました。

夜になって目が覚めると、きっとヨイさんが掛けてくれたのでしょう。肩には毛布がありました。そしてテーブルの上には今日の夢が置かれていました。


「……いただきます。」


そう言って食べた夢の味は、あまり美味しくはなかったけれど、バクさんは少し温かく感じました。


その次の日から、バクさんはとても一生懸命にお店のお手伝いをしました。失敗も少なくなってきて、七日目には売り物の夢を作ることもできるようになりました。

お手伝いがうまくいくと、ヨイさんが笑って喜んでくれるので、バクさんは次第にお手伝いするのが楽しくなっていました。


九日目の日、ヨイさんが風邪をひいて寝込んでしまいました。バクさんは頑張って看病したのですが、なかなか良くなりません。


「ヨイ。大丈夫か……?」

「バクさん……。はい、大丈夫ですよ。……ごめんなさい。今日、バクさんのごはんの用意できないですね。」


そう言って力なく笑うヨイさんを、バクさんは見てることしかできませんでした。

その夜、バクさんは誰かの声がして目を覚ましました。 見るとヨイさんが苦しそうな顔でうなされていたのです。


「ヨイ!!どうした!?大丈夫か!?」


問いかけても、ヨイさんは起きません。 だんだんとヨイさんの顔色が悪くなっていきます。


「……悪夢を見ているのか。」


そう気づいたバクさんは、ヨイさんのおでこに手を当てました。


「悪夢!出てこい!!!」


そう言うと、ヨイさんの体から真っ黒な悪夢が出てきました。悪夢はゴウゴウと音を立てて、またヨイさんの体に戻ろうとします。


バクさんは大きく口を開けてその悪夢を……

ぱくり、と食べました。


そしてすぐに、ヨイさんに向かって近くにあった『大切な人と幸せに過ごす夢』の小瓶の中身をふりかけました。キラキラと光る夢が段々と消えていきヨイさんの中へと入っていきます。そうしたら、だんだんとヨイさんの顔色が良くなって、安心したような顔になっていきました。

ヨイさんの様子を見ていたバクさんは、なんだかとても良かったような、安心したような不思議な温かい気持ちになりました。


次の日の十日目。 ヨイさんは風邪が治って元気になっていました。


「そういえば、バクさん。私、昨日とても良い夢を見たんです。」

「どんな夢だ?」


バクさんは聞きました。


「とても、懐かしい人に会う夢です。それと、バクさんもいました。」

「そうか。」


バクさんはぽかぽかした気持ちで今日のお手伝いを始めます。


「バクさん。今日はお手伝い最後の日ですね。今日の夢はバクさんが好きなものを選んでください。最後なので。」


そう言うヨイさんに、バクさんは聞きました。


「なあ、ヨイ。」

「どうしました?バクさん。」

「明日も、明後日も、その次もずうっとこの店にいて、ここで働きたいって言ったら、ダメか?」


ヨイさんは少し驚いていましたが、すぐに笑いながらこう言いました。


「……喜んでお受けします。よろしくお願いします、バクさん。」


「うん。よろしくな!ヨイ!」

バクさんは元気にそう言いました。


お空のずっとずうっと上の星がきらきらと輝く場所にあるお店『夢中屋』は、店主の魔女ヨイさんとはらぺこのバクさんの二人で、いろんな人の見たい夢を売っています。


さて、本日はどんなお客さんが来るのでしょうか。

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