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その4
「結論から言います。歯科医専門じゃない私では一時凌ぎしかできません。無理を言うようですが、今日はなるべく口を開かないでください。物を食べるのも論外です」
真月さんは俺の歯に詰め物をするとそう言った。
「わかりました。感謝してもしきれませんこの恩は必ずあらためて返します!」
「荒騎、タクシーを捕まえたぞ。式場へ急ごう」
サマーは言うなり自衛隊駐屯地から出て、俺と式場へ向かった。
式場に着いた俺はすぐさまサマーと一緒に控え室に向かった。
「ああ探しましたよ新郎様!一体どちらへ行っていたのですか!」
「ああ、スタッフの人……すみません実は……」
俺は式場スタッフの人に状況を説明した。
「なるほどそういうわけですか……確かに本日の主役が歯が欠けていたら格好がつきませんね」
「でしょう!こいつの大間抜けで織に恥をかかせるわけにはいかない。進行はよろしくお願いしますよ」
「わかりました。お任せください」
スタッフの人は誇り高げにそう言った。