表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元コンサル女子の異世界商売~ステータス画面とAIで商売繁盛!~  作者: 雪凪
第一章 転生初日は大忙し

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/72

1-5 アクティブスキル(1)

身体は疲れているのに、頭は興奮してる。前世で言うところの、徹夜ハイになってきた。全部を設定するまで、どうせ眠れそうもない。次は、ドキドキの【アクティブスキル設定】だし。

ゲームだと、強力な火力のスキルはだいたいアクティブ系で、補助バフがパッシブ系だ。いや、今、設定したパッシブは、私的にはかなり強力だったけど。

覚悟を決めて、 【アクティブスキル設定】 に触れる。


─────────────────

 【アクティブスキル機能】

 1. 時計

 2. メモ帳

 3. 地図

 4. カレンダー

 5. 事典・辞典

 6. 翻訳

─────────────────


へ? これって、スマホに最初から入ってるユーティリティアプリみたいなものよね?

めっちゃ普通で、気が抜けた。つまり、攻撃スキルも防御スキルも無くて、魔物との戦闘もないってことか……ほんとに良かった。ちょっと残念なんて思ってないよ?

あと、スキルポイント制じゃなくて助かった。私はそれ系のシステムのゲームでは、火力極振り紙装甲だったので、リアルなら一番にやられているタイプなはずだ。




最初の『時計』を確認すると、アラーム機能があった。アラームで起こして貰えるなら、やっぱり明日はもっと早起きして、今までよりたくさんの薬草を採取しようと考える。


「4時に起こしてね。セットOK~」


すると、突然黄色の画面が表示された。


─────────────────

注意:設定された時刻は、あなたの適切

な睡眠時間を下回っています。

健康のため、6時への変更をおすすめし

ます。変更しますか? [はい] [いいえ]

─────────────────


一瞬迷ってしまった。アシスタント君は私のために注意してくたのがわかるから。でも、記憶の中のアイリスのお父さんは、『アイリス、朝日が大切なんだよ』って言いながら、いつも早朝に薬草採取をしていた。アシスタント君に心の中で謝りながら、[いいえ]に触れる。


また叱られるかなぁ……赤い警告になっちゃう? と考えていたら、すぐに新しいメッセージが表示された。


─────────────────

了解しました。早起きの際は、十分な水

分補給と軽い運動をおすすめします。

体調管理に気をつけてください。

─────────────────


え! 有能秘書じゃなくて、優しいママかな? 思わずホッとしてしまう。




次に、2番目の『メモ帳』を試してみる。

おぉぉ、頭で考えただけで、すぐにメモされるみたい。5~6回、メモしたり消したりして使い心地を試してる時に、ちゃんと保存と新規作成できることに気づいた。保存時間もちゃんと残る。これなら、単なるメモ帳代わりではなく、きちんとした記録に使えるな。早速、今日の売上と売れた商品をメモしてみる。


「紫ブルーム草 3束:6銅貨、翠根根5本:15銅貨、涼香草2束:8銅貨……」


思い浮かべるだけで、瞬時に記録される。これ、前世にあったら、会議の議事録作りが楽だったのになぁ……前世での長時間の会議と、その後の深夜までの残業を思い出した。




「アヤメちゃん、今日の会議の議事録、明日の朝イチで欲しいんだけど」


23時過ぎに言われて、さすがに引きつった顔で頷くアヤメ。


「はい、わかりました。今夜中に仕上げておきます」


家に帰る頃には、とっくに終電は終わっていた。




機密情報もプライバシーもめっちゃ気を付けるから、議事録アプリで録音させてくれーっ! という仕事の不満は、異世界でも消えていなかった。メモ帳機能の便利さを確かめていたはずなのになぜ? ……私にはのんびりスローライフは無理っぽい。




次に3番目の『地図』を開いてみたら、ヘルバの町とその周りの森や道しか表示されてなかった。まるで、あの超有名RPGの始まりの町みたいだ。森の中に薬草の場所と名前がマッピングされてるのを発見して、ちょっと嬉しい。アイリスの記憶だけを頼りに薬草を採りに行くのは正直ちょっと不安だったからね。

地図で位置を確認していると、ステータス画面のスキル欄がまた光った。


─────────────────

【スキル】緑知の指 

     (採取、鑑定、探知)

─────────────────


え? マジか……あっさりと探知の技能が手に入ってしまったよ。確かに、この地図があったら探知と同じ機能は果たしそうではあるが、検索機能はないからピンポイントで探せないんだけどなぁ。


─────────────────

アヤメさん、検索機能が必要であれば、

明日の朝までにアップグレードしますの

で、ご安心ください。

他にご要望はございますか。

─────────────────


「この地図、上が北で固定して、ぱっと見で距離がわかるようにスケールバーをどこかに表示させてください。あと可能であれば、拡大と縮小ができるようにお願いします」


ここぞとばかりに、前世の地図アプリを思い出してお願いしてみた。地図情報は、死活問題につながるからね。遠慮はしていられない。


─────────────────

かしこまりました。拡大・縮小は、画面

自体の大きさの変更と、地図の縮尺の変

更の両方ができるように設定いたします。

─────────────────


30秒ほどたってから、アシスタント君が返答した。ほんと気が利くわ。秘書っていうより、執事って感じ? お、異世界っぽいぞ!



4番目の『カレンダー』には、市場関係のイベント日と、日の出日の入り時刻、月の満ち欠けが記載されていた。見た感じ、前世と同じく1年が12ヶ月で、1ヶ月が4週間、1週間が7日だった。やはり転生者に優しい。

1週間後に『スプリングフェスティバル』か。今回はパスだな。次回のために、情報だけ集めておこう。えーっと、明日の日の出は5時で、今日は新月なのね




5番目の『事典・辞典』を開くと、『薬草事典』だけが表示された。事典の種類は、これから増えるのかな? 電子書籍のような薬草事典の表紙に触れると、ページが自動的にめくり始めた。止まったページは朔月草。レアな薬草みたい。


─────────────────

朔月草(さくげつそう) レア度:Sランク


効能:強力な解毒作用、免疫力向上

採取可能期間:新月の翌日の早朝のみ

保管方法:乾燥させ、遮光容器に入れて

     冷暗所で保存

調薬方法:

 [地図]

─────────────────


細長い銀色の茎に、半透明の葉が螺旋状についていて、茎の先端に白い花が咲いている絵が、名前の下に載っている。絵に説明があり、全長が30cmほどで、葉の幅は2cmほどらしい。

調薬できないからなのか、調薬方法は空欄だ。


「採取可能期間」の部分が赤く点滅している。思わず笑っちゃうほど主張が激しい。さっき確認したカレンダーと連動しているのだろう。つまり……ちょうど明日の早朝ってことね。

明日、朔月草は絶対に採取しなくちゃ。レアなら高く売れるはず。


ページ左下の[地図]に触れると、さっきの地図が開き、朔月草の位置が表示された。地図の朔月草の横の[詳細]に触れると、薬草事典が開く。うん、便利だわね。


薬草事典は全体の半分くらいが埋まっている。

こんなに埋まっているのは一人になっても頑張ったアイリスのおかげだよね。たぶん、アイリスの知識が辞典に載っている感じだ。残りの白いページは私が頑張って埋めなくちゃだ。メモ帳を立ち上げて、長期目標のページを作ってメモっておいた。


こうしてみると、アクティブ同士はリンクしてるわけね。めっちゃ親切設計ね。でもさ、このステータス画面って、前世の記憶がある人しか使いこなせなさそうなのに、内容はかなり薬草に寄ってるんだよね。アイリス仕様にしては、謎だわ」


アシスタント君は沈黙して、何も答えてくれなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「薬草辞典」ではなくて、「薬草事典」のまちがいですね。「国語辞典」でお確かめを。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ