鬼人達の宴蒼 第六章追憶
今回は双葉の追憶が少しあります。
後は驚きの連続である。
誤字、脱字があったらすみません。
その日は土曜日だった。
学校は休みだけどいつも学校に行く時間に起きた。
昨日は鬼の石のお供えはゼリーだった。
前の日はお供えものが残っていたが、その日は中身だけ無くなっていた。
「…空色の石が汚れている。きっと食べたのは澄子さんね。昨日戦ったからかな。洗っておこう。」
洗面所で石を洗って、台所に行った。
「おはよう、雫。朝ご飯出来ているわよ。」
「おはよう。…いただきます。」
雫は座って朝食を食べた。
「今日は要君と透君とお昼は出かけるの?」
「うん、ちょっといろいろとね。後は中村さんの従姉妹のお姉さんと話をしようかなと思って。双葉ちゃんと逢わなくなったからさ。」
「…大変そうね。雫も。」
母親の言葉に雫は少し異変を感じていた。
「…お母さん、後で少し買い物に行くわ。お昼は少し話があるから。」
「…うん。…ごちそうさま。私、少し宿題してくるね。」
雫は歯磨きをすると自室に戻った。
宿題をしながら過去の事を思い出していた。
中村双葉。彼女とは幼稚園から仲が良かった。結花は明るいが、双葉は雫のおとなしい性格に少し似ていた。
よく泣いていた透を雫と一緒に慰めたり、本を見る要の横に一緒にいたりした。
おとなしいけど、誰かと一緒にいるのが好きな子だった。
四人で一緒だったが、小学六年生の夏に彼女は隣の県に引っ越した。
遠いから逢えなかったが、年賀状は送っていた。
彼女も美術大学に行くと書いていたかな。
「雫、お母さん、買い物に行ってくるから。」
「はーい。行ってらっしゃい。」
玄関が閉まる音がした。
「…中村さんは鬼がいないけど、術者。双葉ちゃんは?術者じゃない?どうなんだろ?」
雫は暫く考えた後に電話をした。
相手は翼だった。
「…もしもし?黒澤さん?どうかしたの?」
「…私、まだよく分からないから、市村さんが術者になった時の事が聞きたくて、電話しました。市村さんが火爪さんや五十嵐さんの術者になった時ってどんな感じだったんですか?」
「…実はさ、私、術者になったのって数週間前で最近なの。夢で自分が昔のお城の上の階から転落して亡くなる夢を見たの。その時、私の侍で鬼の血を引いていて私が亡くなるショックで鬼になったのが勇吹、人間に鬼の事がバレて、山の洞窟で長い間一人きりだったのが護なの。私は昔、護にあっていたけど、長い間逢えなくてね。城に火を付けたのが私の悪い気を持つ九尾の狐だったけど、勇吹は護が犯人だと思って、戦って二人共亡くなったの。その夢を見てから勇吹と護は鬼になれるようになって、私も術者になった。
こんな所よ。
黒澤さんは菫さんの夢を見てから二瀬君が鬼に変身出来るようになったでしょ?
きっかけは夢見たいよ。」
「…市村さん。私、忘れていたけど、最近わかった事があるの。言っていい?」
「…。うん?何があったの?」
「…中村さん、鬼がいないけど、術者でしょ?…私、中村さんの従姉妹の妹と友達だったの。中村双葉さん。私と同じ歳で私達の隣の県にいるの。市村さんだと二つ先。」
「…。結花には話したの?」
「…うん。でも、私、思うの。双葉ちゃんも術者かも。まだ、大丈夫かもしれないけど、いつか何かあるかもと思って。ちょっと心配になったから、市村さんに聞いて欲しくて電話したの。」
「…うん。もし何かあれば、双葉ちゃんも助けるよ。大丈夫。」
「…ありがとう。市村さん。…じゃあ、私は今日も鬼に逢うと思うから。」
「…大丈夫?私よりペース早いね?何人目?」
「…今日で六人目で残りは男の子みたい。でもね、昨日は助けた鬼が石から出たの。…火鬼の彩夏さんと雷鬼の重蔵さんで、二人共善鬼になったの。」
「え?そんな事が出来るの?」
「月詠先生がお供えするように言っていたから、お供えをしたら鬼達の力が戻ったみたい。昨日はゼリー置いたらたぶん氷鬼の澄子さんが食べちゃったみたい。」
「え?食べ物食べるの?」
「…後、昨日死霊にやられちゃって、生命力を奪われちゃったんですが、透と護が分けてくれたから、体調良くなったんです。火爪さんや五十嵐さんも出来るかも。」
「…そんな事出来るんだ。私も回復はちょっと使えるけど、覚えておこうかな。」
「雫。ただいま。」
母親の声が聞こえた。
「…おかえりなさい!…お母さん、帰ってきたから、そろそろ切りますね。」
「ふふっ、お母さんと仲良いのね。気を付けてね。じゃあまたね。」
お昼になって、台所に行くといつもより食べ物が多くある気がした。
「…お母さん。お昼ご飯多くない?オムライスにハンバーグ二個にケーキにフルーツにアイスクリーム?」
「…雫のお昼ご飯はオムライスよ。…他は雫の鬼達の分よ。」
「え?知ってるの?」
「昨日、雫の部屋で澄子ちゃんに逢ったら、皆鬼の石から出たわよ。皆、これが食べたいって。」
そう言うと五人の鬼が出てきた。
「…重蔵君と大地君がハンバーグで、彩夏ちゃんがカップケーキで、優花ちゃんが桃で、澄子ちゃんがアイスクリームね。」
『わーい!いただきまーす!』
五人共嬉しそうに食べていた。
雫は恥ずかしくて顔を下げた。
「…雫、この子達を鎮めないといけないんだってね?だから、食べ物をこの子達にあげるから、守ってあげてねって言ったの?だから、もう隠せないわよ。」
「…っ!たぶん信じないと思ったの。まさか出てきて食べ物食べるとか思わなくて。」
「まあ、こうして見ないと分からないものね。後、透君や要君も鬼だってね。雰囲気変わるはずだわ。」
「えー!誰が言ったの!」
四人が澄子を見た。
「…ごめんね。雫姉さん。お母さんに聞かれたから言っちゃった。」
「ふふふっ。だから、お母さんには隠せないから。」
雫は溜め息をついた。
「…透君や要君はご両親に言ってないの?」
「…たぶん、嫌われたらいけないから言ってないと思う。…けど、昨日学校で雪降った時にクラスの子には透と要の事がばれちゃった。」
「…雫、あんた、部室に隠れていた子を助けたでしょ。聞いたわよ。その子、近所の野口さんの息子よ。怪我も治したってね?」
「うん。優花の木の力なら治せると思って。」
「うん!私頑張ったよ!」
「そう。じゃあまた今度フルーツ用意するから雫の手助け、お願いね。」
「はーい!」
『ごちそうさまでした!』
鬼達は好きなものを食べて満足していた。
「皆、また戻るのかしら。今日も雫をお願いね。」
『はーい!』
そう言うと五人は元に戻った。
「皆良い子ね。今日の子は男の子だってね?夜はすき焼きにするわ。すぐ力を戻すんじゃないかな?」
「うん。っていうか、お母さん、なんでこんなにしてくれるの?」
「うん。雫のボディーガードにいいから投資よ。…後ね、雫を守るから一緒にいさせてくれって泣いて頼まれたのよ。…この子達なら任せていいと思ったから。まあ、お父さんには内緒ね。」
「…うん。」
暫くするとインターフォンが鳴る。
「…こんにちは、雫。」
「…雫。来たよ。」
「…うん。行ってきます。」
「…要君、透君。今日も雫をお願いね。他の鬼は私がスタミナつけたから。」
その言葉に要と透は驚く。
「お母さん!もうっ!」
「私は要君と透君の味方だからね。気を付けてね。」
雫の母親は手を振っていた。
「…雫。お母さんは鬼の事、知ってるの?」
「昨日澄子さん、お供えのゼリーを本当に食べた時にお母さんに見つかったみたいなの。だから、お昼は鬼の石の子のご飯作ったから皆出てきたの。」
「え!皆ご飯食べるの!」
「ビックリしたの。重蔵さんと大地さんはハンバーグ食べて、彩夏さんはカップケーキ食べて、優花さんが桃のシロップ漬け食べて、澄子さんはアイスクリーム。」
「はははっ!雫のお母さん凄いね。皆の好物知ってるんだ。」
「ハンバーグいいなぁ。」
要と透は笑いながら言った。
今日は結花が泊まっている民宿に向かった。
「こんにちは!今日は話があるんだってね?ちょっと外に出ようか?」
四人で外を歩いた。
「…私達、双葉ちゃんとは幼稚園から小学六年生の夏まで四人で仲良かったんです。私達が悪鬼になった子を鎮めながら、中村さんにあったのが偶然に思えないんです。…たぶん、双葉ちゃんも、いつか術者になる気がする。そして、鬼の人に出逢った時に逢わないといけない気がします。」
「…私、双葉とはあんまり話せてなかったかな。最近は電話番号も交換して、双葉も私の大学に来たいみたいでメールはしているけど、それ位。私、術者なのに鬼がいないの。今までの流れなら、双葉も二人の鬼がいると思う。半分助けたい気持ちと半分嫉妬しちゃう気持ちがあると思う。私は双葉と逢っていいのかなと思っちゃう…。」
「…中村さんは、双葉ちゃんが困っていたら、どうするの?」
雫が聞く。
「…うん。そうだね。助けるよ。大切な妹みたいな感じだから。」
結花はそう言うと少し半泣きになった。
ピチョンと水の音がすると回りが暗くなった。
四人が見上げると太陽ではなく、月があった。
「…早いね。今回は久しぶりに四人だね。」
「…中村さん。巻き込んじゃってごめんなさい。」
「いいのいいの!…私、今は双葉の分も頑張るから。」
大きな蝙蝠や狼や梟が現れた。
「…目が皆真っ赤だね。普通の生き物じゃないみたい。」
結花は光の光線を放つが狼にはイマイチ効いてない気がした。
「…狼の方は微妙。あんまり属性の相性分からないけど、月属性に光属性はイマイチなのかも。」
要や透は狼に刀で立ち向かっていった。
「…他の属性がいいかも。どれが効くかな?」
鬼の石を出すと空色の石と茶色の石が輝いた。
「…黒澤さんの鬼、結構凄いね。たぶん…。」
「…氷と土ね。でも、獣系なら炎や雷でもいいと思う。中村さんに赤色と黄色の石を渡しておくね。」
「うん。じゃあ、もうちょっと頑張ろうかな。」
雫と結花は二つの石を使って出てくる敵を倒していった。
月の下に向かうと鬼がいた。
「…誰だろう?」
「…僕も分からない…。」
「…中村さん。あんな鬼っているの?」
「…ヤバイ。写真撮っちゃった。私もないよ。頭が狼で角生えた鬼なんて見た事ないよ。」
鬼が彷徨をあげると蝙蝠や狼や梟が大量に出てきた。
「多くない?仲間呼ぶタイプ?」
「…氷の鬼の澄子さんも氷の塊を沢山出すから強かったの。残りの鬼は強いと思う。」
四人で戦うが、敵が多く、鬼も強くて雫が氷や土の術を使うがほとんど効いていなかった。
「無理!澄子さん!大地さん!出てきて!」
雫が言うと澄子と大地が出てきた。
「…うん。こいつはきついな。」
「この感じは…あの鬼は星谷だな。雫姉さん。ちょっと普通の鬼だと戦いは互角になる。私達を善鬼化して貰える?」
「うん!透!要!大地さん!澄子さん!善鬼化して!」
「…うぉおおおっ!」
「…っ!あぁああっ!」
雫が力を送ると四人は善鬼化した。
「凄ーい!黒澤さん四人も善鬼化出来るの!」
「たぶん、お母さんが二人の好物出したからだと思う。澄子さんはアイスクリームが好きで、大地君はハンバーグが好きだから。」
「いや、本当は今日すき焼きって言うのするから楽しみでさ。」
「私も、今の時代って美味しい食べ物あるから。」
大地と澄子は照れながら言った。完全に雫の
母親の用意する食べ物に夢中のようだ。
「そういえば、翼が鬼に飴をあげたとか言ってたかな。黄色鬼と桃色鬼と善鬼の長に。」
「皆、食べ物が好きみたい。…じゃあ、四人共、サポートするからお願いね。」
雫が四人の能力を更にあげようとした。
「…私は火と雷の石借りているんだよね。じゃあ、攻撃力は私が上がるようにやってみる。」
結花も四人に力を送る。上手くいくのは四人の善鬼を見たからだろう。
「…先に周りは私の氷の力で倒しておこう。」
澄子は昨日のように氷の塊を沢山出して放った。
「…月は土の力を使うと光を失って弱くなるんだ。俺が星谷の力を弱めるから、透と要は攻めてくれ。」
「あぁ!」
大地は砂を集めて星谷に放つと激しい砂が舞い、星谷は膝をついた。
「透!行くぞ!」
「はあぁああっ!」
二人が刀を振ると星谷の黒いオーラが飛び散り、紺色のセミロングの鬼の姿に変わった。
「星谷さん!」
雫が星谷に近づいて声をかけた。
「…あ、あなたは…。誰…?」
星谷は雫が菫ではないと分かったらしい。
「この方は雫姉さん。菫姉さんを助ける為に私達の悪鬼化を戻してくれているの。」
「菫姉さんはまだ池の底にいるみたいなんだ。そのせいで俺達は今の未来の時代で悪鬼になって現れている。それを雫姉さんが助けてくれている。」
「星谷さんも、私に力を貸してほしいの。」
「…俺でもいいのかな。…俺でいいなら、力を貸す。」
星谷はそう言うと雫の手を握り、銀色の石になった。
「…これで、後一人ね。」
雫が言うと澄子と大地が雫に抱きついてきた。
「頑張ったから、雫姉さんに甘える!」
「俺も!雫姉さんが好き!」
二人は見かけによらずに甘えん坊のようだ。
「頑張ったからね。ありがとう。澄子さん、大地さん。」
二人は暫くすると石に戻った。
そして、辺りは元に戻った。
「さっきの二人の鬼。背が高くてお兄さん、お姉さんって感じだったけど、甘えてきてたね。」
「うん。きっと寂しかったからかも。」
「…私も、鬼と一緒になれたら大切にしよう。」
「…私さ。中村さんなら鬼と一緒になる日が来る気がする。」
「…うん。さてと、本当に日が落ちてきたから帰ろうか?」
帰りは先に結花が民宿に着いた。
「…実はさ、私、明日一回家に戻るの。ここに泊まるのは今日まで。でも、月曜日は夕方、皆来る予定。…ちょっと、鬼の長の天津さんの話をしたでしょ。月曜日来るって。黒澤さん達が心配みたい。…皆、黒澤さんや二瀬さん達の味方だから。」
「…うん。ありがとう、中村さん。」
「ちょっと、寂しい。」
透は寂しそうに言った。
「大丈夫だよ!電話の番号教えたから!忙しいとすぐに出れないかも知れないけど、電話くれたらちゃんと出るからね!」
「中村さん。いろいろ助けてくれてありがとうございました。」
要は頭を下げて言った。
「…うん。二人共、大変だけど、もう少し頑張ってね。」
結花はそう言い、借りていた赤色と黄色の石を雫に返した。
「…明日ならまだ朝はいるよね。また朝、来ます。」
「うん、また明日ね。」
三人は結花に手を振って帰った。
「…なんだか、いろいろあったから。中村さんがいなくなるの寂しいね。」
「…うん。」
「あの人にはいろいろ助けて貰ったからな。」
「…明日。皆で写真撮ろうか?」
「うん。思い出作りたい。」
「中村さん。カメラ持っていたからね。俺達も写真撮ろう。」
会話が終わると雫は二人を抱きしめた。
透と要は大地と澄子が雫と抱き合っていた時に少し嫉妬していた。
でも、今は少し結花がいなくなる事で寂しい気持ちだった。
「…僕、やっぱり、ちょっと鬼だからかな。少し寂しい気持ち。」
「…俺も。寂しくなるな。」
「…私も。中村さんといると楽しかったから、寂しいな。」
三人は少し寂しい気持ちになって泣いた。
「…じゃあ、また明日ね。」
「…またね、雫。」
「…また明日。」
透と要と別れて雫は家に帰った。
「…雫。お帰り。どうだった?」
「…中村さんがいてくれたから、月の鬼を鎮めたよ。…でも、中村さんは今日まで民宿に泊まって、明日一回帰るの。月曜日はいろんな人が夕方来てくれるって。…だから、明日は朝、中村さんと写真撮ろうかなって思ってる。」
「…そうなの。明日、お母さんも行っていい?」
「…うん。」
「じゃあ。夕ご飯にしようか。今日はいろんなお肉使ったから、皆呼んでいいよ。」
雫は少し銀色の石が気になった。
「…さっき、鎮めたばかりだけど、大丈夫かな?」
台所に行って、石を出した。
昼のように鬼が五人は出た。
「わー。美味しそう!」
「雫のお母さん!俺!今日頑張ったよ!」
「今日は澄子ちゃんと大地君が頑張ったのね。」
「…星谷さん。出るかな?」
雫が心配していると銀色の石が光って星谷がしゃがんで現れた。
「この子が星谷君?」
「うん。悪鬼だと頭が狼だったけど、ちゃんと人間の顔になってる。」
「…?俺は?何で呼ばれたんだ?」
「はじめまして。雫の母よ。星谷君が来たから、ご飯作ったの。食べて。」
「星谷さんはお箸の使い方、分かる?」
「あぁ。…これを食べていいのか?」
「そうよ。お腹空いたでしょ?食べて。」
星谷は恐る恐る肉を食べた。
「…美味しい。食べ物を食べるのは久しぶりだ。」
星谷はそう言うと泣き出した。
「…普通の鬼って寂しがりみたいなの。安心したと思う。」
「…ゆっくり食べなさい。ほら、皆も入れてあげるわね。」
『わーい!いただきまーす!』
その日の夕方は賑やかだった。
「星谷君。美味しかった?」
「はい。ありがとうございます。」
「これから、雫に何かあったら守ってあげてね。」
「はい。雫姉さん、何かあったら呼んでくれ。」
「うん。」
そう言うと元の石に戻った。
『お母さん!ごちそうさま!』
「はいはい。明日はジャムトースト作るから皆で食べようね。」
『はーい!』
鬼達は返事をすると元の石に戻った。
「星谷さん。結構背が高かった。でも、私より年下かな?」
「確か、優花ちゃんが一番下よ。13歳だったって。で、大地君と彩夏ちゃんが14歳。重蔵君と澄子ちゃんが15歳。星谷君と辰夜君が16歳よ。昔の透君と要君は真刀君と千春君って名前で16歳と17歳。雫が違うかも知れないけど、菫って名前なら21歳よ。」
「え?お母さん、皆の年齢知ってるの?」
「彩夏ちゃんから聞いたわよ?」
雫の母親はいろいろ聞いたらしい。雫も驚いていた。
「さてと、お風呂入って、早めに寝ようかな?」
「うん。ゆっくり入ってきなさい。」
「はーい。」
雫はお風呂に入りにいった。
「…やっぱり、皆カッコ良かったり、可愛いわ。明日はお父さん、会社の用事が朝からあるんだっけ?丁度いいわ。まあお父さんが家にいる時は雫の部屋にご飯持って行ったらいいでしょ。」
雫の母親は片付けながら言った。
「…しかし、あの鬼の子達、体つき凄いわ。あんな子、普通いないでしょ。腹筋割れてる子なんて初めてみたわ。…やっぱり、雫ってちょっと鈍感ね?あんな凄い子が一緒だとドキドキしない?私、凄い子達がいるわってビックリしたんやけど。」
昼ご飯や夕ご飯の時の事を思い出すと雫の母親は機嫌が良かった。
「さてと、明日は朝ご飯食べたら出かけないと。皆も朝ご飯食べると思うし。また明日ね。おやすみなさい。」
雫が鬼の石に言うと少し明るくなった気がした。
そして、雫は眠りについた。
今回は澄子がお供えのゼリーを食べたら雫の母親に見つかって、好物と交換で年齢を知るわでむちゃくちゃな回となっている。
まあ逞しい鬼が泣きながら一緒にいたいと言われたら断れないでしょう。
たぶん、お父さんはお母さんみたいなノリじゃない真面目なタイプっぽいから警戒していると思われる。
お父さんは普通の会社員の上位だと思う。
透君と要君のお父さんは薬品会社の社員と思う。
家の雰囲気から透のお父さんの方が上。