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鬼人達の宴蒼 第四章善鬼

今回は月詠夫婦が出てくる回です。

正直、予想していた展開とは変わりました。

誤字、脱字があったらすみません。

雫が要と透と一緒に鬼を静めるのも四日目になった。

(今日はお医者さんの夫婦が来るって中村さん言っていたかな。)

朝食の時につい、食パンを人差し指の上に乗せて、風の力で回すイメージをしていたら、回った。

「雫、何してんの?」

「回るかなと思ったら、回ったけど、その程度だなって思った。」

「よくわからんわ。正月じゃないから、パンが皿回しみたいに回っても普通よね。」

雫が制服を着替えに行くと食パンを見た。

どうみても普通のパンである。

(…雫、まさか、マジシャンなりたいん?確か始めはアクセサリー作る仕事したいって言ってなかった?)

雫が戻って来るとインターフォンがなる。

「雫、おはよう。」

「おはよう、雫。」

「おはよう、要、透。いってきます。」

母がそろっとドアを開けて見ると要と透が雫の横でそこそこ体を近づけていた。

「あかん、カップルかトリプルか知らんけど、そんな感じやん。」

近所のお婆さんが出てきた。

「あら、黒澤さん。娘さんは最近仲が良いのね?」

「お婆ちゃん、いつも見てたんやろ。でも、うちの雫、鈍感なんや。まだ気がつかんのや。」

「…いつになるかしらね。ほほっ。」

(ほほっ、やないやろ。このお婆、要注意やん。)

雫の母は近所のお婆さんに警戒していた。


今日は授業で体育があった。大体予想がつく。要と透の二の腕とかの筋肉がいつもと違うのがよく分かる。

「…なんか、あの二人、あんなに腕の筋肉ついてた?」

「…家でトレーニングしてるとか言っていたかな。」

男子はバスケット、女子はバレーだった。

要と透はお互い敵同士だが、遠くからボールを入れたりむちゃくちゃしていた。

「…二人供むちゃくちゃしてる。」

そう言いながら、雫は雫で変な軌道のボールを打ったりしていた。

授業が終わって教室に帰ると透と要に人が集まっていた。

「…ん?どうかしたの?」

「いや、この二人運動神経もだけど、体格大分変わってるぞ。」

「え?トレーニングしてるからじゃないの?」

「…透も要も腹筋バキバキだったぞ。あんなのすぐならねぇよ。何食ったら変わるんだよ。」

「ハンバーグ。」

透がおどけて言った。

「…そういえば、雫は雫でバレーボールの動き、変じゃなかった?なんかかなりカーブしたり、真っ直ぐでカクカク横に動いてなかった?」

「なんか変に打てそうだから、やってみたの。次は普通にやる。」

次の授業から皆、透や要を見ていた気がする。よく考えたらまだ夏服だから二の腕とか分かる。

皆、透や要の腕を見ている気がした。


授業が終わって、学校の外に出ると中村さんと横に背の高い男性と眼鏡をかけた女性がいた。

「黒澤さん、二瀬さん。お疲れ様。」

結花が手を振っていたので雫や透も手を振った。

「はじめまして。月詠達弥(つくよみたつや)だ。」

「はじめまして。月詠紫織(つくよみしおり)です。確か、二瀬要君が医療大学希望だったかな?」

「はい。」

「達弥が医者で私と一緒に隣の県の総合病院で働いているね。もし、良かったら、歓迎するわよ。」

「うむ。やる気があるなら歓迎だ。鬼なら特にな。」

「…よろしくお願いします。」

「うん。一応電話番号交換しようか?他の二人も何かあったら、力になるわ。」

「はい。」

紫織は気がきいた。いろいろ力になってくれるらしい。

「…さてと。ゆっくりしたいけど、あんまり時間がないみたい。」

「…え?何でですか?」

「…君達があってる鬼との遭遇がもうすぐ始まる。私は月の鬼で未来が少し分かるんだ。」

「…私も、達弥の力の影響が強いから多少の未来は見えるの。今回は木の鬼ね。火に弱いけど、花粉が飛んでいるから気をつけて。なるべく風の方がいいわよ。」

「はい。」

「…そろそろね。中村さん、結界張るの忘れないようにね。」

「大丈夫です。」


ドブッと水の中に入る感じがすると周りに木がある森の中になった。

達弥は頭から角を出した鬼の姿になった。

透や要も鬼の姿になった。

「…今日は透君と要君に達弥の善鬼の姿を見て欲しいの。説明は、まあ先生にお願いしようかな。」

「…善鬼は鬼の闘争心が高まる時に力を解放して鬼の能力を強化させる肉体強化技だ。悪鬼に対抗するなら必要だろう。だが、特に主人を持つなら黒澤さんと二人の絆が必要だ。主人を守りたい気持ちが善鬼の力を高める。善鬼に必要なのは何かを守りたいと願う力だ。」

「…雫を守りたい気持ち。」

要と透が言うと鬼の強い目で雫を見た。

「…雫を守りたい。」

雫には強い目が怖く感じた。…でも、二人が雫の事を思う気持ちがわかった。

雫はゆっくり二人に近づけて、太い二の腕を触れた。

「…私、まだちょっと怖いけど、二人といたい。」

その言葉に透と要は笑顔になった。

「…うん。ちょっとは良くなったかな?…じゃあ、行きましょうか。」

達弥と紫織が前方を歩いた。その後ろを四人は歩いた。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

「…人面樹、人面蛾、土蜘蛛ね。飛んでいる人面蛾は私がやるわ。」

「残りは俺がやる。…要さんと透さんは後ろの人面樹と人面蛾を頼む。」

雫が振り向くと人面樹と人面蛾が後ろにもいた。

「俺は蛾を倒す。透は樹を頼む。」

「あぁ!」

いつもと違い、今日は要と透が積極的に戦っていた。

「…こういうのって横も来るもんよね。」

結花が横の木から現れた土蜘蛛を光の術で倒した。

雫の方は蛾がゆらゆらと飛んできた。

雫が風の術で倒そうとしたが、要がやってきて刀で斬りつけた。

「…今日は守らせてくれ、雫。」

「…う、うん。」

顔が赤くなる雫に結花がニヤニヤしていた。

「…昨日は雫さんと要さん、透さんでバラバラだったもんね。鬼って良い所をみせたいのよ。」


奥まで行くとやはり鬼がいた。緑色の髪で翼を持つ少女のようだった。

挿絵(By みてみん)

「…優花(ゆうか)。」

「…あの人も悪鬼になった人なのね。」

優花は飛びながら緑色のエネルギー弾を複数放ってきた。

達弥は刀に気を纏わせてエネルギー弾を破壊していった。

「…そろそろ良いかな。達弥、善鬼化。」

「…うぉおおおっ!」

達弥の肩や肘から角が出て、体が脈打っているようだった。

達弥が刀の気を飛ばすと優花の黒いオーラが少し飛んだ。

「…凄い。善鬼だと攻撃が効くんだ。」

結花が達弥の戦いを驚いて見ていた。

「…私も、要と透に出来るかな…。」

雫が迷っていると要と透の体が脈打っている気がした。

「…どうやら、私が思っている以上にあの二人の鬼の気持ちが高まっているみたいね。雫さん!やりなさい!」

「…っ!要!透!善鬼化して!」

「…うぉおおおっ!」

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

二人は髪を伸ばして、肩や肘から角を出して善鬼になった。体の筋肉は膨張して逞しい鬼になった。

透は高く飛んで優花に腕を振って落とし、そこを要が勢いよく拳をぶつけた。

優花の黒いオーラは無くなり、元の姿になって倒れた。

挿絵(By みてみん)

「…うぅっ…菫姉様。」

「…優花さん。私は雫。菫さんは池の中に捕らわれているみたいなの。」

「…姉様が、池に?」

「…お願い。力を貸して欲しいの。」

「…うん。菫姉様を…助けて、お願い…。」

優花はそう言い消えると緑色の石になった。

「…四人目。終わりました。」

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


辺りはゆっくり元に戻った。

「…なんだか。ちょっと悲しそうだったわね。

雫さん。また何かあれば、力になるから呼んでね?」

「…はい。ありがとうございました。」

「…雫さん。何かその石に良ければお供えものをあげてくれないか?たぶん、その石は鬼の亡骸かもしれない。」

「…分かりました。それで、この人達が救われるなら、やります。」

紫織は雫をぎゅっと抱きしめた。雫は少し泣いてしまった。

「…また。いつか会いましょうね。」

紫織は達弥に近づくと消えた。そして、走っていくのがわかった。

「…雫さん。今日は少し疲れたかもね。ゆっくり休んでね?」

「はい。中村さんも今日はありがとうございました。」


帰り道、雫は要と透にこっそり、術で回りの気配を消してもらうと二人に抱きついて泣き出した。

達弥の言葉で気がついた。この石は鬼の亡骸なのだ。

なんだか悲しくなった。彼らはまだ救われていないのだ。

「…雫。我慢したね。誰もいないから、泣いていいよ。」

「…大丈夫だよ。雫。僕ら、頑張るから。」

「…うん!うん!」


その日の夜に雫は石にクッキーをお供えした。

「…明日も頑張るから。力を貸して下さい。」

手を合わせて、勉強をして、そして、眠った。

眠ると夢を見た。四人の鬼が楽しそうにしている夢だ。

夢を見ていた雫の目から涙が溢れた。


今回は要君と透君の善鬼化です。まず、このタイミングではなかったんですが、書いていると二人の気持ちが高まっている気がしました。

もうこのタイミングです。

後、今回の鬼の石は亡骸説ですか。

これも言われたらそうだなと思いました。

いろいろ悲しい気持ちになるのは蒼だからですね。

明日は良い夢が見られるといいですね。

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