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トゥーナのレベルを上げるためのD缶開封祭り(後編)

更新遅くなってすみません

「またスキル玉が出た……内容はダンジョン採掘だってさ。効果はダンジョンの壁を殴ったら稀に鉱石が出るらしい。魔鉄、魔銅、魔銀が出るそうだが、誰が覚える?」

「私は要らないかな。私の運だったら叩いてもハズレばっかりでそうだし」

「私も要りませんね。魔法だと効果はなさそうですし」

「誰も要らないわよ。金属ゴブリンを倒した方が集まるもの」


 姫の言う通りだ。

 

 てんしばダンジョンの深い階層で銀のゴブリンが出てくるようになり、それをPDで再現、殲滅している今、魔銀も大量に手に入るようになった。

 インベントリにも入りきらず、最近はダンジョン局経由でトヨハツに売っている。


「じゃあこれもインベントリの肥やしだな」


 実は、こういう使わずに放置されているスキル玉は結構あったりする。

 例えば『絶対音感(絶対音感を手に入れる)』『自伝生成(自分の経験を文章にする)』等々、戦闘に直接関係のないスキル、『ブーメラン(投げた投擲武器が手元に戻ってくる)』『基礎槌術(槌を使った戦闘術が使える)』等戦闘系のスキルだが自分たちの戦闘と合致していないスキルは放置している。

 覚えるだけなら害はないのだが、プラチナの竹(ランダムで三つのスキルのランクを一段階上げることができる)が手に入って使用したとき、あまり実用的ではないスキルがランクアップしてしまったら目も当てられない。

 正直、かつて覚えた基礎槍術もいまとなっては覚えなくてよかったのではないかと思っている。


 ちなみに、この手のスキル玉を使わなくなって気付いたことがある。

 インベントリは同じアイテムを中に入れると同種類に纏まってしまう。

 回復薬を2本インベントリに入れたら、

【回復薬:2】

 となる感じだ。


 しかし、スキル玉の場合は違う。

 現在、俺のインベントリの中では、


【ダンジョンドロップ:13】

【ダンジョンドロップ:1】

【ダンジョンドロップ:1】

【ダンジョンドロップ:1】

【ダンジョンドロップ:1】

 ・

 ・

 ・


 という状態になっている。

 つまり、通常の鑑定では区別できないダンジョンドロップとスキル玉が、インベントリでははっきりと別物と判断してくれているのだ。

 つまり、大量にダンジョンドロップがあるとき、一度全部インベントリに入れたらスキル玉を自動で判別できる。

 いちいち詳細鑑定を使わなくてもいい。

 しかも、取り出すときは「絶対音感のスキル玉」と念じて取り出せばしっかり出てくる。

 地味に便利だ。


 閑話休題。


 スキル玉やいろんな物、ガラクタ等は出てくるが肝心のトゥーナをPDに入れるスキルなりアイテムが出てこない。


「これはやり方を変えるしかないわね」

「やり方を変えるってどういうことだ?」

「だって、私たちは『開けやすい缶』と『それらしい開封方法のある缶』を狙って開封してるでしょ? でも、泰良の運を頼りに開けるなら――」

「ああ、そうか。もっとランダムに開けた方がいいのか」

「そう。それがどんな面倒な開封方法の缶でもね」 


 姫はそう言うと分身を生み出し、今あるD缶を俺の周囲に並べ始めた。

 そして、さっきD缶から出てきた消しゴムを俺に渡す。


「目をつぶってその場で十周くらい回って、消しゴムを投げて! それで最初に当たったD缶を開けましょ」

「それが面倒な缶でもか?」

「可能な限りよ。泰良の運なら変な物は出ないわよ」

「そもそも目隠しして当たるのか? 数が多いって言ってもそう簡単に当たらないだろ」

「泰良の運なら当たるわよ」


 俺の運頼りにもほどがあるだろ。

 まぁ、最初から俺の運頼りで始まった作戦だ。

 初志貫徹といきますか。


 目をつぶる。

 片足を軸にその場で回る。

 普通の人間ならふらふらして立っていられなくなるが、三半規管が鍛えられた俺はこの程度でふらついたりしない。

 というかこの程度でふらつくようなら、高速で動き回る戦闘についていかない。

 さて、消しゴムを投げる。

 あまり強く投げたらどのD缶に当たったかわかりにくいかもしれない。

 それならふわっと上に投げよう。

 俺は深く考えず、消しゴムを投げてから目を開けた。


「あっ」


 弧を描くように飛んでいった消しゴムは、まっすぐ部屋の隅にある植木鉢の上に落ちた。

 殺風景なロビーを少しでも落ち着く空間にしようと持ってきた観葉植物だ。


「もう、泰良。どこに投げてるのよ」

「悪い悪い……って俺は悪くないだろ」


 一瞬、「これじゃ観葉植物じゃなくて缶用植物だな」と親父ギャグを言いそうになったが、なんとか言わずに済んだ。

 そして観葉植物の根元に落ちた消しゴムを拾う。


「もう一回ね」

「そうだな………………あっ!」

「どうしたの?」

「いや、そういえばこの中にアレがあったんだ」


 俺はそう言って、観葉植物の根元を掘る。

 そこから出てきたのは一本のD缶だった。


「なんでそんなところにD缶が埋まってるのよ!」

「これ、姫と出会う前に手に入れたD缶なんだよ」


 俺がPDに入るようになったあたりのことだ。

 スキル玉の可能性に気付いた俺は今ほどじゃないがまとまった数のD缶を購入した。

 これはその時のD缶の一つだ。


「開いてるじゃない。どんな開封方法だったの?」

「開封方法は一年間土の中に埋めることだったんだよ。すっかり忘れてた(※ep6:詳細鑑定とゴブリン退治参照)」


 最初は家の庭に埋めてたんだが、しかし「一年は長すぎる」「埋めた場所を忘れてしまう」等々の懸念があり、観葉植物の土の中に埋め直した。

 PDなら俺たちが潜っている分土の中に入れる期間が伸びるからな。

 まさか、埋めた場所を忘れるのではなく、埋めたことを忘れることになるとは思ってもいなかった。

 たぶん、生駒山上遊園地のダンジョンに挑んだときには既に開いていただろう。


「そんな大事な事、なんで忘れてるのよ」

「D缶の数が多すぎていちいち覚えていられなくなったんだよ」


 とりあえず土を払いのけてD缶の中を確認する。

 幸い、缶の中に土は入っていなかった。

 というか、中はパンパンに布が入っていた。

 引っ張り出すと、それは――


「寝袋?」


 キャンプとかでよく使う寝袋だ。

 確か、これはマミー型という奴だな?

 ミイラの入っている棺のような形をしている。

 とりあえず、鑑定してみる。


【絶対安全仮死寝袋:寝袋の中に入っている間、コールドスリープによる仮死状態となる。絶対安全】


 怖いよ!

 アイテム名にも鑑定効果にも【絶対安全】って入ってるのが逆に怖いよ。

 仮死状態ってなんんだよ。

 心臓とか止まってるんじゃないか?

 こんなのトゥーナが使うわけが……いや、待てよ?


 効果を説明したらミルクたちも考え込んでいる様子。

 やっぱり、みんな考えることは同じってことか?


 トゥーナを仮死状態にしたら、PDの中に連れて入れるんじゃないか? とか思ってる?

『幸運の初期値が異常に高かった高校生が、缶詰ガチャで手に入れたスキルを使って現代ダンジョンで最強になる物語』

コミカライズ6話後半が無料配信されています。

あと、コミカライズ1巻が1月8日に発売します。


今年最後の更新になります。

一年間ありがとうございました。

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幸運の初期値が異常に高かった高校生が、缶詰ガチャで手に入れたスキルを使って現代ダンジョンで最強になる物語、漫画公開中!
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いつも楽しく読んます。良いお年を~
今年一年お疲れ様でした コミックは予約済みです!
今年もお疲れ様でした! ランクアップ先までわかれば絶対音感も今回の鉱石もランクアップ後ならよさげになりそうな感じは高いから価値が獏上がりしそうでもったいない感が結構あるね
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