VS金亀神
後書きにお知らせがあります
金亀神がめっちゃ怒ってる。
鳴き声を発する動物だったら、絶対絶叫してるぞ。
「攻撃されたらあんな風に怒るのか?」
「前に攻撃したときはあんなことにならなかったわ。やっぱりクナイが刺さったからじゃない?」
「真衣の作ったクナイはとんでもないわね。あんな硬い甲羅に突き刺さるなんて」
「感心してる場合かっ! 来るぞ!」
金亀神がまるで暴走トラックのように突っ込んでくる。
このまま進んだらミルクとアヤメが危ない。
と思ったとき、ミルクから念話が。
そうか。
俺は金亀神の攻撃を避けた。
そして金亀神が行った先にはミルクとアヤメが。
しかし、その二人を守るようにそれが地面に突き刺さっていた。
ミスリルの杭だ。
金亀神と激突するも、ミスリルの杭はびくともしない。
杭打ち機を本当に杭打ちに使うとは――いや、それって普通のことなんだろうけど。
金亀神は回転しながら跳躍して百八十度向きを変えると、今度は俺目掛けて走り出そうとするが、
「解放:短距離転移」
金亀神の真上に転移し、その頭を突こうとするが、金亀神も咄嗟に頭を甲羅の中にひっこめた。
だったら――と俺は剣を甲羅に突き刺す。
これで――
その瞬間、甲羅から蒸気が噴き出る。
高温の蒸気に、俺はたまらず剣を抜いて離脱した。
「泰良、大丈夫!?」
「ああ、意外となんともない。闇火鼠の外套の火耐性が上がっているおかげかもな」
心配するミルクにそう言った。
直後、金亀神が大量の卵を産んだ。
しかも卵があちこちに飛んでいき、広範囲に広がる。
かなりの数だ。
三桁はあるんじゃないか?
「多すぎる。前はせいぜい十個程度だったのに」
次の瞬間から、ミルクの銃撃とアヤメの魔法で卵を潰していくが、間に合わない。
卵から小さい金亀が孵化した。
かなり潰したけど三十匹はあるぞ。
あんなのに爆発されたら――そうだ!
「姫、キノコホイッスル!」
「――っ! その手があったわ!」
姫がホイッスルを吹いた。
歩きキノコが何匹も現れる。
そして、姫は分身と一緒に、その歩きキノコを金亀の子どものいる方に投げた。
亀の子たちが歩きキノコにむらがっていき、爆発を起こす。
同じように他の子亀たちも姫が無効化していく中、俺は金亀神と向かい合う。
金亀神は頭から血を流していた。
どうやらさっき甲羅に刺した剣が頭にもあたっていたらしい。
虫の息って感じだな。
ということは、さっきの卵は最後の力を振り絞ったってところか。
だったらトドメを刺して楽にしてやる。
金亀神が突撃して来るが、今度は避けることなく正面から受け止めた。
「二刀流応用剣術、月影双龍剣っ!」
二振りの剣で金亀神を正面から突く。
とその時、金亀神の身体がぶれた。
本当に素早い攻撃だ。
だが、俺の狙いは最初からお前の頭じゃない。
もっとデカイ的、こいつの甲羅だ。
これから戦う敵を考えると、このくらい硬い甲羅を砕けないでやっていけない。
こいつの甲羅が硬いのはさっきの攻撃で知っている。
いままでの剣だったら下手すれば折れていたであろう硬度も。
そして、俺のいまの剣なら余裕で貫けることも。
俺の剣が金亀神の甲羅を完全に砕き、その奥に突き刺さった。
金亀神の動きが止まり、光の粒子となって消えた。
「勝ったな」
琵琶湖ダンジョン五十階層踏破!
お、レベルが164に上がってる。
これはいいな。
「泰良っ! それ!」
「ん? 金亀の甲羅だろ?」
金亀神が亀の甲羅を落とすのは聞いていた。
水野さんの防具の素材になるかな?
「じゃなくて、その甲羅の中」
「甲羅の中?」
甲羅の中を見る。
……え?
そこにあったのはダンジョンドロップ、いや、詳細鑑定を使えばわかる。
本来、魔物がドロップするはずのないアイテム、スキル玉があった。
本日3月7日は『幸運の初期値が異常に高かった高校生が、缶詰ガチャで手に入れたスキルを使って現代ダンジョンで最強になる物語』1巻の発売日になります!
そして、1巻の帯に書いていますが、コミカライズ企画進行中です!
コミックグロウルで連載予定です!
詳しい情報が入り次第、後書きでお知らせいたします。




