お宝発表(その2)
ミルクの結果発表が良い感じに終わったところで、次に青木が成果を見せた。
こっちもいろいろあった。
金貨とか
「牧野の後だと面白みに欠けるが、中々だろ?」
「そうだな――」
青木は謙遜気味に言うが、実用性に優れたアイテムも結構揃っている。
例えば、このネズミの玩具。
【おとりネズミ:スイッチを入れると魔物を集めながら高速で逃げ回る】
トヨハツ探索の兎束さんみたいな動きをするネズミらしい。
もしかして、スイッチを入れて自走させずに握っていたら挑発スキル代わりに使えるんじゃないかと思ったが、あくまで使い捨てアイテムらしい。
それでも本当に危ないときの保険には十分使えるだろう。
他にも、
【スケープコート:自分に集めた魔物からのヘイトを着せた相手に転嫁できるコート】
【滑り止めの薬:靴に塗ると十二時間、氷などの上でも滑らなくなる魔法の薬】
【緊急脱出装置:使用すると一度だけダンジョンの一階層に転移できる箱】
【ヴァイパー・キッス:紫の刀身の短剣。斬った敵に対して毒の状態異常を与える短剣。刀身の中に一回だけ使える解毒薬が入っている】
【ノイズキャンセリング・イヤーピース:音による攻撃を無効化できる耳栓】
【マジックリサイクルバッグ:使用した魔力の一部を溜め込み、魔石として生み出すことができる】
などだ。
他は、結構高い薬や、そこそこ強い武器、貴金属や鍛冶素材などがある。
「ノイズキャンセ……この耳栓とか便利そうだよね。咆哮とかの攻撃を無効化できると思うよ」
「滑り止め薬は、受験生のゲン担ぎによさそうだ」
「マジックリサイクルバッグ――私の魔力だとどのくらいの魔石がリサイクルされるんでしょう?」
とそれぞれアイテムを鑑定して意見を言った。
次に水野さんと胡桃里さんのペア。
ってあれ? D缶が開いてる?
しかも二個も?
「私が持ったら開いちゃったんだ。中身はそのままにしてるよ」
へぇ、どれどれ?
一個はダンジョンドロップ、お、スキル玉だ。
【慈愛の心:スキルによる回復の効果を高めることができる】
これはミルク向けかな?
うちに他に回復魔法使える人はいないし。
もう一つは魔道具のレシピか。
『このレシピなんだけど壱野くんは何の魔道具が作れるか鑑定してわかったりする?』
周囲のメンバーにだけ伝わる念話で水野さんが尋ねた。
『ああ、わかる。エコーリングっていう耳飾りで、ダンジョンで使えるトランシーバーのようなもの』
『需要あると思う?』
『ダンジョンの中ではスマホも使えないし、絶対にあると思う。配信クリスタルが二個あったら一応外部を通じて文字で連絡は取れるけど時間がかかるし』
ちなみに、開封条件は、それぞれ
【開封条件:レベル20以上であり、魔物を一匹も倒したことのない者が所有する】
【開封条件:レベル50以上の鍛冶師が所有する】
とこの中で水野さんのみ開封できるものだった。
『需要はあるけど私たちにはあまり必要ないし、真衣が作るの難しいならGDCグループに渡してあっちの鍛冶師に作ってもらうわよ?』
姫が伝えた。
うん、今使っている念話スキルの方が便利だからな。
『ありがとう。ちょっと考えてみるよ』
水野さんがちょっと弱音を吐いてそう伝えた。
他にも鍛冶関係の装備品が多い。
特に、作成した装備品にプラス補正の入る【ゴッド・スミスの手袋】とかは大当たりだな。
お宝ダンジョンの宝箱の内容って開けた人によって変わるのだろうか?
『次は私が行きたいのですが、その前に壱野さん、これを見ていただいてもいいですか?』
とアヤメがこっそりと俺に何かを渡してくる。
魔法使いがよく頭にかぶってるとんがり帽子だ。
鑑定したところ、魔術師の帽子と――魔術師の帽子!?
さらに詳細鑑定をする。
【大魔術師の帽子:魔力を大幅に上昇させ、さらに魔法を※覚醒へと導く伝説の帽子】
おぉっ!?
杖 ローブ ブーツ 首飾りに続いて五つ目の大魔術師装備だ。
『おめでとう、アヤメ! 大魔術師の帽子だ。これでまた強くなれるぞ』
『やっぱり――見たとき直感的にそう思ったんです』
『おめでとう、アヤメ!』
『おめでとう、アヤメちゃん』
『……ん、おめでとう』
『おめでとう!』
『ありがとう、皆さん』
みんなでアヤメを祝福していると――
「なぁ、いまって何の時間だ?」
「急に無言になったっすね」
と念話を持っていない、そして事情を知らない青木と胡桃里さんが不思議そうに呟いた。




