ステータス確認バーベキュー
今回はステータス確認回です。
泰良たちのステータスだけだとわかりにくいと思うので、トップランクの探索者のステータスと合わせてご覧ください。
次の土曜日。
「「「「チーム救世主パーティ全員トリプルレベル達成おめでとう!」」」」
全員でグラスを掲げて叫んだ。
全員レベル100になったお祝いに、その日は俺の家の庭でバーベキューをすることになったのだ。
お祝い事はバーベキューが定番になりつつある。
万能バーベキューセットが火を噴くぞ(火を噴くほどの火力はないが)。
ミルク、アヤメ、姫はもちろん参加。
家の庭だから、父さんと母さん、トゥーナ、ついでにミコトもいる。
さらに、水野さんも招待した。
シロも連れてきてくれて、いまはクロと庭でじゃれている。
「あら、このお肉美味しい。泰良、どこで買ったの?」
母さんがバーベキューの肉を食べて言う。
「買ったんじゃなくてダンジョンで採ってきた。神のWAGYU」
「神の和牛? ………………100グラム99,800円っ!? ダンジョンってそんな凄い肉が落ちてるのか」
父さんがスマホで神のWAGYUについて調べ、ビールを噴き出しそうになる。
「50キロくらい在庫あるから、遠慮せずに食べてよ」
「ダンジョンって儲かるんだなぁ」
と父さんがしみじみと言う。
とはいえ、父さんが俺に家賃と生活費以上の金銭を要求してきたことは一度もない。
というか、兄貴が「父さん、仕事辞めて泰良の扶養に入ったらどうだ?」って言ったら、「仕事は金もうけだけの場所じゃないからな。それに、一日俺が家にいたら母さんも気が休まらないだろ」って冗談で言っていた。
母さんも、玉ねぎやウサギ肉をダンジョンで採って来るように言うことはあるが、お金については父さんと同じだ。
本当に欲がないんだよな。
が――
「ねぇ、泰良。ウナギがいるダンジョンってないかしら?」
「ビールやワインが採れるダンジョンってのもあったら用意してくれ」
現物支給は大喜びなんだよな、この両親。
「ウナギっていったら静岡の浜名湖ダンジョンと鹿児島の桜島ダンジョンかな?」
「ビールといったら北海道の札幌ダンジョンと茨城の守谷ダンジョンですか?」
「いいえ、ビールの近場は松坂ね。ミノタウロスの亜種の酔いどれミノタウロスが良質なビールをドロップしたはずよ」
ミルク、アヤメ、姫がそれぞれ言う。
酔いどれミノタウロス……そんなのがいるんだ。
「拙者はビールより日本酒を所望する。現代酒は真に美味であるがゆえに」
「うむ。そうじゃろそうじゃろ!」
と開始早々、日本酒を飲んでいるのはゼンとミコトだ。
本当はゼンはバーベキューに参加する予定はなかったのだが、この話を聞いた彼女が是非参加させてほしいと懇願してきた。
見た目が狐耳幼女のミコトとマスコット鬼幼女のゼンが日本酒で盛り上がるのはなんともシュールな光景だ。
ただ、お稲荷様へのお供え物として日本酒は普通のものであるし、鬼や天狗が酒好きというのは日本中の伝承として残っていることから、二人が酒好きというのは無理からぬことなのかもしれない。
「ねぇ、壱野くん。また帰りにげきうまキノコ貰って帰ってもいいかな?」
「いいよ。なんなら肉も持って帰る?」
「ありがとう。じゃあ貰って帰るね」
水野さんが言うので、俺は二つ返事で引き受けた。
最近は歩きキノコ狩りをする回数は減ってきたのだが、お宝ダンジョンで手に入ったキノコの原木のお陰で毎日5本のキノコが生えてくる――しかもPDに設置しているので、俺たちがダンジョンに潜っている間はそちらの時間が適用されているらしく、さらにキノコの収穫量は増えている。
「……美味。感動」
トゥーナ用にカレー粉を掛けた牛串を用意したところ好評のようだ。
こいつ、カレーの味がついていたらなんでもいいんじゃないだろうか?
そして、俺たちパーティメンバーが集まって話し合う。
そして――ステータスの確認である。
俺たち四人のステータスを見る前に、参考までに水野さんのステータスを教えてもらった。
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水野真衣:レベル32(ランクF)
換金額:0D(ランキング:-)
体力:108/108
魔力:20/20
攻撃:308
防御:65
技術:369
俊敏:98
幸運:39
技能:開発 —
スキル:鍛冶 修理 魔道具作製 属性付与
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攻撃と技術が良い意味でヤバイな。俺がレベル30の時の倍以上ある。
だが、体力と防御が悪い意味でヤバイ。防御が俺の半分未満、体力が四分の一もない。
鍛冶師が怪我しやすい、危ない仕事だっていうのがよくわかる。
属性付与ってのが増えているな。
火の石や水の石といった道具を使うことで、作製した武器防具に属性を付与することができるスキルらしい。
参考と言えば、もう一人。
実は西条さんのステータスも教えてもらったっけ。
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西条虎:レベル359
体力:6581/6581
魔力:950/950
攻撃:3029
防御:2586
技術:2501
俊敏:2315
幸運:102
――――――――――――――――――
かなり強い。
琴瑟相和が無かったら勝てなかった。
と竹内さんのステータスを思い出す。
――――――――――――――――――
竹内信玄:レベル781
体力:5271/5271
魔力:0/0
攻撃:3202
防御:2918
技術:2942
俊敏:2195
幸運:300
――――――――――――――――――
「レベルでいえば圧倒的に竹内さんの方が高いんだが、それほど差はないんだな。体力だけでいえば竹内さんの方が低いし」
これなら、琴瑟相和を使えば勝てるんじゃないかって思う。
「ステータスなんて上辺のものよ。アヤメがいい例ね。彼女の場合、ステータスとして公開される魔力は820だけど、装備のことを考えると2050まで跳ね上がるでしょ? 聞いたところによると、彼にはステータスを何倍にも高める秘技とも言えるスキルがあるらしいわ」
そういえば、竹内さんの持ってる竹刀ってユニークアイテムだったっけ?
ちらっと鑑定して怒られたことを思い出す。
そのせいで詳細鑑定をしてどんな効果なのかは見損ねたが。
とまぁ、彼らのステータスを参考に、俺たちのステータスを確認。
まずは俺のステータス。
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壱野泰良:レベル102(ランクE)
換金額:1058545D(ランキング:501〔JPN])
体力:3735/3735
魔力:400/400
攻撃:1765(+176)
防御:1591
技術:1498
俊敏:1541(+154)
幸運:2920
技能:料理 剣術 格闘術
スキル:PD生成Ⅱ 気配探知 基礎剣術 簡易調合
詳細鑑定 獄炎魔法 インベントリ 怪力
火魔法 投石 ヒートアップ 基礎槍術
魔法反射 肩代わり トレジャーアップ
妖精の輪 琴瑟相和 水魔法 応用剣術
疾風 常在戦場 ラッキーパンチ 影獣化
対応力 付与魔法 空間魔法
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相変わらずステータスの伸びがいい。
幸運値がそろそろ3000に到達しそうだ。
本来は嬉しいことだが、確率の偏りが事件も呼び寄せるという閑さんの見解を考えると素直に喜べないかもしれない。
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牧野ミルク:レベル100(ランクE)
換金額:1058500D(ランキング:505〔JPN])
体力:1002/1002
魔力:680/680
攻撃:703
防御:695(+10)
技術:700
俊敏:684
幸運:23
技能:- - -
スキル:炎石魔法 薬魔法 琴瑟相和 胸部装甲
基礎銃術 応用銃術 簡易調合 応用調合
禍福倚伏 光魔法 救済措置 無魔法
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ミルクのステータスだ。
順調に伸びているとは思うが、幸運値の伸びだけは異様に悪い。
レベル80から100までに2しか増えていない。
これだけ幸運値が低いのにステータスがちゃんと増えている――というよりアヤメよりも伸びているらしく、本人も不思議に思っているらしい。
なお、クエストには果敢に挑戦しているが、技能付きのクエストには一度も遭遇していないそうだ。 やっぱり運が悪いのだろう。
宝箱以外での救済ポイントの進呈が急がれる。
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東アヤメ:レベル100(ランクE)
換金額:1058450D(ランキング:506〔JPN])
体力:1026/1026
魔力:2050/820(+1230)
攻撃:623
防御:503(+88)
技術:505(+86)
俊敏:591
幸運:55
技能:早口 裁縫 -
スキル:風魔法 ラーニング 琴瑟相和 天衣無縫
雷魔法 チャージ 魔法融合 即死魔法(粘)
魔力回復 絶対記憶 魔力タンク(820)
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アヤメのステータス。
絶対記憶ってスキルが生えている。
覚えようと思ったものを忘れずにいられるスキルか。
めっちゃ羨ましい。
暗記系のテストで無敵じゃないか。
それと、裁縫技能が生えている。
どちらも戦闘には役に立たないがあって損するものじゃないよな。
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押野姫:レベル101(ランクD)
換金額:1095333D(ランキング:493〔JPN])
体力:1205/1205
魔力:0/0
攻撃:891
防御:853(+8)
技術:953
俊敏:2553(+610)
幸運:83
技能:収穫 - -
スキル:注目の的 速き者 分身 琴瑟相和
基礎短剣術 的外れ 電光石火 脱兎
応用短剣術 先制攻撃 金の草鞋
壁走り 天翔 巧遅拙速
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最後に姫のステータス。
聞いていた通り攻撃値の伸びが悪い。
ただ、冒険者ランクはDと、一番高い。
頑張っている証拠だろう。
技能の収穫については、正直わからん。
畑仕事とかの収穫作業が上手になるのだろうか?
姫もあるから付けているだけって感じだな。
「やっぱり、泰良のステータスだけ異常だよね」
「そうですね。レベル200相当はあるんじゃないでしょうか?」
「いまの泰良ならソロで30階層も行けるんじゃない?」
ソロで30階層か……前までだったら何かあったらと思うと怖かったが、空間転移という緊急時の脱出方法を手に入れた今なら試してみてもいいかもしれないな。
それでレベル上げに最適な階層があったら、みんなで共有してもいいわけだし。
でも、その前に明日はダンジョン学園の黒のダンジョン探索。
うまくいくかどうか。
「泰良、肉焦げるわよ」
母さんに言われ、俺は慌ててバーベキューセットの上の肉串を皿に移したのだった。




