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俺は探知魔法で次々とターゲットを補足し、始末していった。
どのみち全ての人間を葬りさるのだ。
現在位置から近い生体反応から順に潰していくことに決めた。
まず多かったのは地下で生活しているような奴らだ。
こういった輩というのが結構いて、地下まで赴いて始末していく必要があった。
そしてその殆どが完全な人というよりかは、いわゆる亜人と呼ばれる種族だった。
例えばずんぐりむっくりしていた小汚い生き物たちが山に住処を構え生活していた。
ファンタジーでいうところのドワーフといった種族に当たるのだろうか。
まぁこいつらは山ごと大胆に吹き飛ばせばワンパンだったのでさほど苦労はしなかった。
厄介なのが地中に潜って生活している、いわゆるモグラのような習性をもった種族だった。
地面というのは思っていた以上の防御力を備えており、そう簡単に化学兵器といえども崩せるようなものでもない。地下深くに潜っていようものなら尚更暴き出すのは難しいことだった。
ならば俺が穴中に入っていこうかとも思ったが、なんか怖かった。
恐らくそいつらのもとまで行けないこともないのだろうが、無事に地上に帰ってこれる確信がなかったのだ。どこかで土が崩れて塞がってしまえば、俺は地中深くに閉じ込められたままになってしまうのではないかと、そんな懸念が湧いたのだ。
それに穴を掘るようなやつだ、俺が向かった矢先散り散りになって逃げられれば、地中でそいつらを追うのに相当苦労しそうだと思った。
そこでとある対処法を思いついた。
そういう奴らには水攻めをすることにしたのだ。
いわゆる大量の水を生成し、それを住処の穴に向かって流し込む。
中途半端な量じゃない。それこそ無尽蔵な水量を住処にぶつける。
この作業をしているとき、アリの巣を思い浮かべた。
巣に大量の水を流し込めば慌てたようにアリが出てくる。
子供の頃に見たことがあるようなその光景に似ていると思えた。
俺はそれを実行に移す。
だがアリのように、そいつらが実際に穴から飛び出してくるということはなかった。
穴は掘れても水中を泳ぐことは苦手なのか、地上に退避してくるということはなかったのだ。
地上に繋がるいくつかの穴から溢れ出るまで水を流し込めば、後は待つだけ。
少し経った頃に一つ一つ生体反応が消えていったので、多分溺死してしまったのだと思う。
そうやって地中に住むやつは攻略した。
そして人が潜んでいたのは地中だけではない。
空にもあった。
いわゆる浮遊島のような感じで、天空、雲の上などに浮いた陸地があったのだ。
これは俺も盲点だった。
ファンタジー世界なのだから、地球の常識で考えてはいけない。
核爆弾は地上に向けて撃っていたので、当然空に浮かぶものには一切当たっていなかった。
島では独特の文明が栄えていた。
そもそも住んでいる人の何割かが背中から翼が生えていたり、頭がまるっきり鳥だったりした。鳩のような顔や、鷲のような顔。本当に種々様々、キメラのようで気色悪いと思った。
空の島の攻略は簡単だった。
普通に核兵器を投入すればいい。
別に何かの方法で回避されていたわけでもない、ただ俺が狙っていなかったというだけなので、普通に狙えば普通に壊滅できた。
おびただしい量の原子爆弾で木っ端微塵になる島を見ながら、何かのゲームのようだと変な気持ちになっていた。
そんなこんなで次々と人を始末して回った。
途中からわざわざ核兵器などを使わなくとも瞬間移動を駆使すれば簡単だということに気づき始める。
目的の人物の目の前までワープ。そしてその人物を即破壊する。
そして次の人物までワープ。
これならば穴の中に潜られていようと関係ない。
一匹ずつだが、確実にやることができる。それに瞬間移動を極めれば一人一秒以内に殺すことができた。次々に、リズミカルにワープしていけばそれも可能だ。何も考えずに作業できるところもかなりグッドな作戦だった。
しかしやっていくにつれて結局大量の水をぶちまけてしまえばもっと早いことに気づき、世界中で津波を起こすことにした。
大量の水を生成し、地上を水で覆い尽くす。
これが最も早くて確実だった。
この作戦でかなりの割合の生命体が亡くなった。
山をもすっぽりと覆うほどの大量の水で満たしたのだ。
ほとんどのやつは死んで当たり前だった。
これで細々としたやつらもほぼ全員やれた。
しかしそれでもまだまだ生き残っている奴らがいた。
だが数は限られている。
俺は異世界破壊の最終パートとして、そいつらを順に潰していくことにした。
「す、すまない。助けてくれ、神様、神様ぁああ」
丸太に掴まり水面を放浪しているやつがいた。
げっそりとしていてなんだか今にも死にそうといったところだ。
見た所人間とは少し顔立ちが違う。
ちょっと毛深いし、獣人といったところか。
今までの経験からわかってきたことだが、獣人は人間よりしぶといやつが多い。
だからこそこの状況になってもギリギリ生き残ることが出来ているのだろう。
「なに? 助けてほしいの?」
俺は水面より少し上を浮遊しながら、その男の傍で尋ねた。
「ああ、ああ! もう限界だ! なんだっていい! 助けて、もう体の力が残ってねぇ! お願いだ! 助けてくれえええ!」
その男は泣いていた。
本当にもう限界なのだろう。
まぁ休まる暇もなく丸太に掴まり続けていたらそうもなるのだろうか。
「わかったよ。死ね」
俺は男に水流を放った。
圧縮した水を光速で解き放っただけだ。
水を生み出すことがくせになってしまっていた。
「…………」
額を貫かれた男は、何もわかってなさそうな顔で力を失うと、丸太からゆっくり手を離し水中へとたゆたうように沈んでいった。
「あと六百六十二人か……」
すでにカウントダウンが始まっていた人数を数えながら、俺は次の標的に向かいワープしていった。




