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 突如脳内に神の声が響き、何かと思えばぶちぎれていた。

 ああ、何だよこいつ。


『儂は言ったよな、この世界にて魔王を倒してくれと、それがお主の使命じゃと』


「よく覚えてないな、仮に言われたとしても俺は絶対に了承はしてないはずだぞ? そっちが勝手に転生させてるんだから、俺の方が勝手に何やろうと対等ってやつだろ。都合のいいことばっか言ってんじゃねぇよ」


『そんな無茶苦茶な言い分通るわけあるか!』


 はぁ? マジで何なんだよこの爺さん。聞いてりゃ好き勝手いいやがって。今更出てきて何しゃしゃってきてんだよ。なんかガチでムカついてきた。はぁ、なんだか何もかもうまくいかない気分だ。女の子にも振られ、理不尽に怒られて、何のために俺は生きてるんだろう。転生していいことなんか一つもないじゃないか。こんなんだったら地球で死んだままだった方がいくらマシだった。


「……理不尽だ……」


『ともかく、今からでもお主がやる気を出せばまだ復興の可能性は残されておる。とにかくこれからは世界を再建させるように行動するのじゃ。お主のその膨大な力があればなんとかなるじゃろう。まずは汚染された大地を浄化し、植物を世界中に芽吹かせるのじゃ。そうして残った生物を保護し――』


 じいさんはなんか得意げに今後の展望を語っていた。

 なんだ結局は自分勝手か。

 自分が良ければなんでもいい。人間なんてそんなもんだよな。

 他人の感情を無視するということが、どれだけおろかで優しさのない行為だということをまるで理解していないんだ。他人に便宜を図らないで自分だけ救われようとする? そんなうまいこといくわけねぇだろ。他人に何かを求めるならまずは自分から、そんな当たり前のことをこいつはわかってないんだ。


『じゃからこれから儂が指示する通りに――』


「うるせぇっなぁ!!」


 俺は地面を殴りつけた。

 でかいクレーターが空いた。


『なんじゃ今更』


「もういいよそういう御託は。こんな世界もうコリゴリだ。決めたぜじいさん。俺はもうこの世界のことごとくを破壊する。全ての生命体を殺し尽くし、最終的には世界そのものをなきものにする。それが俺の真の目標だ」


『な、何を頭のおかしいことを言うとるんじゃ!』


「こんな世界大っきらいだ。本当に死んだ方がマシってくらいにな。だから俺はこの世界を無くす。そしてその後俺も消える。そうして俺という人間の物語は完結するんだ」


『馬鹿か! そんなこと許されるわけないじゃろ! そっちがその気なら儂の方から直接手を下し罰を与えてやるぞい!』


「じゃあそれでもいいからやってみてよ。別に俺は神の力を持ってるってわけじゃない。そっちがその気になれば俺は完全に無力な立場だからな。あんたがそうするなら黙って受け入れるしかないだろ」


『くっ……』


 俺の言葉に神様は口ごもっていた。

 ああ、まぁなんとなくそうじゃないかと思ってたけど、多分向こうからこちらには何もできないんだ。だってもしその気なら俺を操って思うがままに行動させればいい。というか干渉できるというのならわざわざ俺をこの世界に派遣するなんていう遠回しな方法を取ることもないはずだ。魔王とやらを上からシュンっとやってしまえばいい。


「なんだっていいけど俺のやることはもう決まったから。この世界をまるごと滅ぼしてやる。世界ごと俺という存在ごと消えてやるからな」


『く、狂っておる……っ』


 神様は完全に戦慄してそうな声色だった。

 ああ、でもなんだスッキリしたな。ようやく俺の目標というのがはっきりとした。心と体が一致したと言うか、完全な人間になった気分だ。そうか人は一つの目的に向かう覚悟が決まれば、こんなにも強くなれるんだ……


「じゃあなじいさん、もうあんたと話すことはない」


『く、くそう……こんなはずでは……こんなはずではああああ!!』


 ぷつりと電波が切れたような気がした。

 ふん、文句が言いたいなら転生前に言っとくべきだったな。もう何もかも遅いよ。



「さてと、俺の仕事を始めるか」


 覚悟を決めた俺は強かった。

 もう何にも泳がされる気がしなかった。

 仮に進んでいた先に、どんな残酷な結果が待ち受けていようと、俺はそれをすんなりと受け入れられる気がした。



「まずは掃除からだな」


 世界を滅ぼすということは、全生命体を亡き者にするということだ。それくらいは当たり前の前提条件だ。


 しかしながらどういうわけかこの世界にはまだ俺の攻撃を受けながら生き残っているやつがいる。

 そいつらを駆除して回らないと話が進まないというわけだ。


「ま、近くのやつから順番にやっていけばいいだろ」


 俺は探知魔法を発動させた。

 ふんふん、少し離れたところに数十個の反応が……これはどうやって生き残ってんだろうな。


 まぁそれは確かめてみればわかることだ。

 俺は背中に翼を生えさせた。

 真っ白で純白の天使の翼だ。

 なんとなく、この世界を滅ぼして回るにはこれがお似合いだと思ったのだ。


「ま、やっていることは悪魔のような所業かもしれないけどな」


 世界を浄化して回るのだ、これが一番お似合いだろう。

 俺は内心それだけ考え、翼をはためかせた。

 俺の心は一つに向かっていた。

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