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花畑にて、俺と姫様は対峙していた。
「なるほど、結界で城は守られていたというのか。そうだね、満足したよ。納得もした。俺の当初ここへ来た目的は果たされたと言えるだろう」
「で、でしたら、もうここは去っても良いはずです。我が国から退却願います」
「いやいや、まぁそう焦るでない姫様。当初ここへ来た目的が果たされただけで、新しくまた目的ができちゃったんだよ」
「な、何をっ……」
「姫様。僕はどうやら君に恋をしてしまったようだ。本当にひと目見たときから完全に可愛いなこいつって思ってしまってた。だからさ、もし良かったら俺と付き合ってくれないか? いや、もちろん結婚までしてくれとは未だ言わない。それは流石に手順を踏んでからというか、まだ時期尚早だと思うからね。だからまずはお互いの距離を測っていくところから始めよう。姫様、どうか僕と付き合ってください。お願いします」
そうして俺は膝を折り、姫様に手を伸ばした。
ふっ、これは完璧だ。マジで童貞とは思えないほどの完璧な告白だ。これは完全に決まっただろ。
もうこんな花畑のロマンチックな感じの中の告白に耐えられるやつはいない。確実にころっと落ちただろう。俺の作戦勝ちというわけさ。
「……私と、恋路の仲になりたいということでしょうか」
「そうだよ、マジでお願いします」
「そうすれば、城の者たちを助けていただけますか?」
「いや、そういう問題じゃないな。俺は姫様の本心を聞いてるんだ。大丈夫、正直に話したところで俺は怒らない。それが城の人たちを裏切ることになったとしても、それはしょうがないことなんだよ。愛というのは暴走列車のようなものだからね。だから正直に僕の胸に飛び込んできてごらん。愛の不時着というやつさ」
俺は両腕を広げ、彼女を待ち受ける。
ふふ、そう、正直になっていい。正直に俺のもとに飛び込んできていいんだ。もう君が僕にメロメロだというのはバレバレなんだから。隠さなくていいんだ。
「…………」
姫様はためらっていた。何を言いよどむ必要があるんだい。ほら、自分を正直に解放するんだ。我慢しなくて良い、全部出してしまえよ、俺様への正直な気持ちをよ……
「申し訳ございませんが……現時点ではそういった婚約といったことは考えられません。私は皇女として国を支える使命がありますから」
「え」
え、ちょっとなんて言った? もしかして俺をふるようなセリフを言ったんじゃないだろうな? はは、馬鹿なそんわけない。そんな俺から逃げるような発言になるわけないだろ、きっとなにかの間違いだ。
「遠回しな言い方とかはしなくていいよ。簡潔に答えてもらえたら良い、ほら、僕のことが好きか、好きじゃないか、どっちなんだい?」
「…………」
「気なんか使わなくて良い! 正直なところをどんとぶちまけてくれ! 怒ったりしないからさ」
「……好きとは……ならないですよね」
ならないですよね……ならないですよね……
「え、え、え?」
わけがわからない。本当にわけがわからない。え、それって一体どういうこと?
「え、え、え、え、え」
わからないわからないわからない。どういうこと、それってつまり……僕を振ったってこと? そんな、俺は確かに告白した。そしてその結果、振られた。
俺が恋した女の子に、あっけなく振られてしまった。
恋心が、儚く散った。
「え、そんなこと」
そんなこと、ありえていいのか? いや、いいわけない。俺様が振られるなんてこと、あって言い訳ないんだ。言い訳、言い訳なくて、言い訳……
「うわ、うわ…………うわああああああああああああああああああああああああああ!!」
俺は気づけば手から放射能を放っていた。
姫様は何を言い残すでもなく、一瞬で焼け焦げ消し飛んだ。
「うわあああ! うわあああ! あがあああああああ!!」
俺は手当たり次第に放射能をぶちまける。
周囲の鮮やかだった花畑の風景は一変し、焼け焦げた匂い立ち込める火の情景へと成り代わってしまった。
ああ、焼畑農業かな。かなしい。かなしいよ。この感情、うわ、うわああああああ!!
「糞があああああああ!!」
俺は転移して元の城に戻ってきた。
そして驚く群衆に対し、即座に放射能を乱射する。
群衆たちは放射能に焼かれるたびにいなくなり、城も内部から熱戦により次々に破壊されていく。
「うわ! うわ! うわああああああ!!」
俺は城の天井を突き抜け上空へと出る。
そして白に対し放射能を放った。
だが見えないバリアにガードされ熱は通らない。
「くそ! くそ! くそ!」
俺は城内部に再び侵入し、ひたすら中から建物を焼きまくった。
宙を浮いて凄いスピードで移動しながらどんどん破壊していく。
やがて城の殆どが破壊された。
俺は再び中空に躍り出て城をまるごと消し飛ばそうとするが、やはりまだバリアは続いている。
俺が生命反応を探る魔法を行使すると、反応がたった一つだけあった。
城の地下だった。
俺はそこまで降りていき、地下室のような場所を進んだ。
その先には閉ざされた扉があったが、それを無理やりぶち破り、中に入る。
そこには鎖に繋がれた一人の少女がいた。




