39:上書きする雨
目覚めてしまった夢。果たして止めることは出来るのか。
「マダ...私ノ体ハ不完全ダト言ウノニ...」
「眠りを妨げられて怒ってるなぁ....これは」
「そらそうでしょ...」
「何故起コシタ...」
「へ?」
「何故起コシタト聞イテイルンダァ!!!!!」
「まずっ!?」
「夢還!!」
「24のプレリュード」
「...何ダ?オ前」
「ドウヤッテ私ノ攻撃ヲ防イダ?」
「力は余と同じ、もしくはそれ以上だからな....そりゃあお前の攻撃くらい防げるだろ」
「ホウ...面白イ事ヲ言ッテクレル!!」
「夢廻!!」
「ノクターン」
「クッ...!!」
「アァ...ウザイウザイウザイウザイ...ウザイィィイ!!!!」
「完全に目覚める前に倒すぞ....凪津!!」
「うん!!」
「76本のトロンボーン」
「〝止まれ〟」
「クッ...!?」
「アルセナール」
「グッ...!!!」
「グゥゥゥ...マタ...マタ縛リツケルノカ...!!!」
「なっ!?動いた!?」
「まずい!」
魔皇は僕の方へ向かおうとする。
「滅べ...夢炫魁楼」
僕は自分と魔皇に向かって言う。
「〝テレポート〟」
その瞬間僕たちはテレポートした。
「...逃ゲヤガッタ...!!!!」
「クソッタレ!」
「こ、ここ何処?」
「....さぁな」
「魔皇さん...どうする?」
「夢を戻さなければ意味が無い。夢の波動は感知できる。だから早く行くぞ」
「は、はい!!」
「クライスレリアーナ」
そしてまた戻ってきた
「うぉ...っ」
「...サッキ逃ゲタナ...?」
「も、もっと怒ってる...」
「いやまぁそりゃあな....」
「モウ許サン!!!全力デ殺シテヤル!!」
「結果的に本気でやってくれるらしい...」
「まぁ良かったかな」
「夢現!!」
「ボレロ」
「ウザイウザイウザイ...!!オ前ヲ先ニ殺ス!!」
「かかって来い」
と超嬉しそうにする魔皇
「砕夢!」
「ヴィーナス」
「クッ!!」
「もっと行くぞ!!」
「カルミナ・ブラーナ」
「プロムナード」
「ブラームス」
「グゥッ...!!!」
あ、あれ?押せてる?魔皇ってこんなに強いの...?それともまだ不完全だから?
「クソガァァァァ!!!」
「夢燎ノ渦」
「な、なんだ?」
「...これはマジでまずい!!」
「早く止めないと完全体になる!!」
「幸運を呼べ!!凪津!!」
「は、はい!!」
「〝唯福君!!ここに来て!〟」
「うぉぁ!?」
「お前ら...いいか聞け」
そうして魔皇から完全体になる前に止める方法を教えてもらった。
「ただこの技は...幸運の力をもってしても対象者は死ぬことになる....」
「えっ」
「その状態を解くと代わりにな....」
「...」
「....苦渋の決断をさせてしまってすまない....」
迷った。迷いまくった。その時むーちゃんの声が頭の中で微かに聞こえた。
お願い...貴方の...凪津さんの手でやって欲しい...
と
「っ...!!!」
「凪津...」
「ゆふくん...」
むーちゃん...
「分かった...!」
「...あぁ」
「出来るかわかんないけど...やってみよう...!」
「Innocent Fortune」
「行くぞ....お前ら!!」
「威風堂々」
「っ!?」
「なんかパワーが上がった?」
「エルカミーノレアル」
「ホルスト」
「次はお前だ幸運」
「あぁ...」
「Maximum Supreme」
「...最後の技は...」
「幸せの啓示」
「な、なんか光ってる...」
「後は凪津。お前が夢に当てるだけだ」
「...うん」
僕はゆっくりと夢に近づいた。突然今までのむーちゃんとの思い出が頭の中で流れ始めた。今まで話してきた事、今まで一緒にやってきたこと...
「...っ」
でもやらなければいけないんだ...
「最後の技だ」
「えっ?」
「魔皇さん...?」
「お前と幸運にな」
「皇帝」
「...魔皇...」
「....早くやれ....」
「はい...!!」
「〝この技は効く〟」
「ガァッ!?」
「っ!!」
「止まった...」
「ガァアアアアアアアア!!!!!!!」
ピキピキと外殻のようなものが割れて、光り始める。そして夢境が段々と晴れていく
「効いたのか...」
「....戻るか....」
「ふぅっ...」
「皆!!」
「裁兎!!」
「よぉ...お前ら...終わったぞ...」
「勝ったのか!?」
「...まぁ...見とけ...」
上からむーちゃんが落下してきた。
「むーちゃん!!」
咄嗟にむーちゃんを抱える。
「むーちゃん...!!」
「...ぅ」
「むーちゃん!!」
「凪津...さん...」
「どう...したん...ですか...そんな...顔を...して」
訣れの覚悟を決めて泣き止まないと、と思えば思うほど涙が止まらない。
「なんで...泣きそうなんで...すか...っていうか...泣いて...ます...ね...」
ぎこちない笑顔で言う。
「だって...むーちゃん...」
「...話を聞いてくれますか...」
「...うん。分かった...」
「ありがとうございます...」
「僕は...今まで...嫌な人生...でした」
「うん...」
「親に...虐待されたり...同級生から...バカに...されたり...」
「でも...あなた達と過ごした日々は...最高でした...最高の...4ヶ月だった...」
「...う...ん...」
何も話せないほどに泣いてしまっている。ただただむーちゃんの...絃夢ちゃんの話を聞くことしか出来ない...
「勉強会...成績を...上げるための...治安維持...世界を...救ったりもしました...ね」
「うん...」
「...この4ヶ月は...本当に楽しかった...」
「それもこれも全て...凪津さんと...唯福さん...憶さんのおかげです...」
「皆さんと出会えなければ...僕は...ここまで...楽しい思い出に...ならなかったです...」
「あぁ...視界が...もう...目の前すら...見えなくなって...凪津さん...いますか...?」
「く...っ!!」
「いるよ...ここに」
とてつもなく声は震えながら答える。
「どこに...いますか...」
「ここに...目の前にいるよ...っ」
「皆も...ここに...近くにいるよ...」
と絃夢ちゃんの頬を撫でる。
「暖かい...良かった...すぐ側にいるんですね...皆も...いるんですね...良かった...」
「幸せな...時間で...す...」
絃夢は息をしなくなった...。
「うっ...うぅ...」
「...っ」
「なっちゃん...」
「絃夢...ちゃ...ん...」
僕は号哭した。腕の中で友達が亡くなったという受け入れ難い事実に。どうしてむーちゃんが亡くならなきゃいけないのか。どうして夢の能力がむーちゃんじゃなきゃいけないのか。...そんなことを考えることすら出来なかった。...ただ今は泣き叫ぶしか出来なかった...
僕の慟哭を消すかのように夢境が晴れた後は大雨が降っていた
戦いに決着が着いた、が...。まるで天気が弔う様に大雨が降った。




