32:最悪の目覚め
虚空と話し、裁判を戻すことにした裁兎。さて無事に裁判を戻すことは出来るのか。
「...」
「う...」
「ん...」
母上がいる部屋の前で僕らはずっと入ろうか迷っている。というか入ろうとは思ってるけどとても緊張している。
「...おい、裁兎。」
と小声で話を始める。
「なんだよ...」
「入らないのか?」
「だって...生まれてから会ったことないんだぞ...」
「でも...」
グダグダと3人小声で話していると後ろから
「何やってんだお前ら」
「...父上」
「そんなところで立ってないで、部屋に入るなら入れよ」
と言いながら普通に開けてしまった。
「お、おい!!」
「...ぁ」
「...っ」
するとそこには、黒の様な紺の様な髪色、そしてロングよりも数倍に長い髪の長さのストレートヘア。吸い込まれる程に綺麗な真っ黒の瞳。黒すぎて角膜と虹彩はほぼ見えない...。この世にこの人と同等の美しさの人はいるのだろうかと一目見た瞬間に思ってしまった。
これは惚れるという感覚ではない。さらに言うと僕如きが惚れて良いものなのかとも思う。これ程までに...
「...大丈夫だったか?虚空...いや誅絽」
「...うん」
「...誅絽...って」
「3年だけ、人間として生きることを決めたらしいからな。人間としての名前だ」
「なるほど...」
「...初めまして...っていうべきね...」
「私は虚空...貴方の...裁兎の母親。」
「は...初めまして...母上」
すると乖たんが小声で
「あの人...とんでもなく綺麗だな...」
それに合わせて僕も小声で話す
「乖たんが美しいって思うのなら本物の美しさだね...」
「え?どういう事だよ」
「乖たんは滅多に美しいだなんて言わないからね。」
「...なるほどな」
「っで、所でだが...」
と権治さんが話を始める
「裁兎は裁判を戻したいそうなんだ。」
「誅絽、今いけそうか?」
「...起きたばっかなのに仕事をさせるなんて...まだここのことも分かってないのに...」
「...それはすまん...それは...そのー...この3年で色々知ればいいさ。もっと知りたくなったら、もっと入ればいいだけだしな。それに叶恋と海蕾もお前と話したいだろうし」
「...それもそうね。分かった。裁兎」
「う、うん...何?」
「ちょっとごめんね」
と言うと権治さんと誅絽さんは白りんを挟むように抱きついた。
「え...っ?」
「...どういう?」
「とりあえず見ておこ」
「ああ、そうだな」
すると急に白りんの体が光り始めた
「えっ!?」
「う、嘘...?」
「急に光が...」
数分後、2人は白りんから離れた
「これで裁判が復活してるはずだ」
「...本当か?」
「表情は豊かなままだけど...」
「おそらく、表情が変わらない病気は治ったんじゃないか?」
「...そんなことがあるのか?」
「裁兎は裁判と和解をしたのね」
「...え?」
「和解と言うよりはもう一心同体みたいな感じに見えたよな」
「うん!そう思った!」
「...それは本当か?」
「...まぁ、裁判とはもう信頼どころか命を預ける程までになったけど...」
「誅絽...」
「凄い...」
「裁判は俺らでも従えるのに何百年...いや何千年とかかったが...」
「それはな...あの時のお主らの我が強くて居心地が悪かったし、余に対して酷いことをしよったでは無いか」
「...裁判に変わった...?」
「いや...俺は人格変わった訳では無い...」
「つまり...白りんの体の中から喋ってるってこと?」
「えぇ...」
「酷いこと...?なんかしたか?」
「...はぁ...余の事を長い事放っておいた上に、余の事を忘れ、更には自身の子供に責任転嫁。これがどれ程に酷いことか」
「...そんなことしてたの権治さん」
「いやぁ...えっと」
「理事長さんさぁ...」
「裁判。可哀想」
「う...うぅ...す、すまん...裁判。」
「それぐらいでは許しはせんが...まぁ多少は許してやろう。ミリくらいはな」
「...今はその温情だけでも嬉しいです...」
「ところで、裁兎が裁判と一心同体になったて言うのは本当なの?裁判」
「あぁ、理との戦いの最中にな。此奴の精神状態、身体状態が100%以上の状態だった時に完全に此奴に任せて良いと思ったのだ」
「だからあの時表情が無表情じゃなくなったのか」
「あの時の2人今までで見た事ない姿してたよ...」
「乖十は不正を完全に使いこなせてるな...」
「完全不正状態があるもんね...」
「あれマジで人の領域突破してたぞ...」
「今戦ったらどっちが勝てるか分からんかもな...」
「ならやるか?裁兎!!」
「...お、良いぜ」
「じゃあ誅絽も来るか?」
「うん。私も裁兎の強さ知りたいし、それにお友達の強さも知りたい。人間が理を下したと言う強さを」
「やっぱり戦うならここだよな」
「訓練場だね...」
「すごーい」
「とりあえずこの部屋に入りましょう」
「ここは?」
「いわゆる観戦室みたいなとこです。攻撃の衝撃とかが来ないようにされてる部屋ですね」
「なるほど...ありがとう!あなたは?」
「僕は神無崎凪津です。一応あの二人の幼なじみです。」
「あなたも戦うことが出来るの?」
「まぁ一応」
「あなたの力は?」
「僕は絶対権という力です。」
「え...?絶対権...?」
「はい...そうですね」
「権利を人が使えるの?」
「な、何故か使えるんですよね...この状態なのに...不思議ですよね...」
「本当に不思議...」
「あ、始まりますよ」
「では今から白神裁兎、神ノ丞乖十の戦いを始める!!」
「両者準備は?」
「俺はもちろんOKだ!裁兎は!」
「ふーっ...OK」
っ!?な、何だこの威圧...!!
「こ、これは...」
最早、このオーラは神の領域...まさか本当に...
「...では戦闘開始!!!」
「完全不正状態ォ!!!」
「神々の運命」
「っ!?」
「嘘...この技...」
この圧...思いっきり理の圧と同格だ...
「神々の運命で来るか...っ!!」
「うぉぉおおおっ!!!!」
「なっ...」
「攻撃が通らない...?」
「極楼」
「ぅがぁっ...!!」
技を食らった乖たんは一瞬で壁へと吹っ飛んだ
「この状態だと神にならなければ攻撃が通らないみたいだな....」
「あの姿になって無表情になった!!」
「...今までは裁判の力を使うと無表情じゃなくなってたのに、今後は裁判の力を使うと無表情になるのか...?」
「...なるほどな...神になる...か...」
「まさかあの形態になるの!?」
「あの形態...とは?」
「乖たんと白りんにはこれ以上の形態変化があと2つあるんです...乖たんの2つのうちの1つ...つまり次の進化は...」
「限界突破。神格化。」
「神格化...」
「俺はまた行けるか...?不正よぉ...」
「...限界突破...」
「...乖十...」
「神格化...ッ!!!」
「っよし...ありがとう。不正。」
「行くぞ...裁兎」
「来い....乖十」
「はぁっ...!!」
「っ!!」
「ぐっ....!!」
は、早すぎて何も見えない!
「嘘だろこの強さ...」
「こりゃ...この建物改良しなければな...」
「流石にここまで強くなるとは思わなかったな...」
「ぐぅ....っ!!」
白りんが吹き飛ばされたと思ったけど、すぐに立て直して壁を足場にしてそのまま乖たんの方へとてつもないスピードで向かう...。
「このままじゃ決着がつかないよ...」
「黒槍」
「すぅぅっ!」
「フンッ!!!」
「っ!!」
「くぅっ....!!」
「乖たんの攻撃を受け止めた...っ!!」
「ぐっ....」
「このままじゃ...」
「クッハハ...!!」
「乖たん...笑ってる...?」
「なっ....!!」
「黒槍が...!!」
折れた...
「オリャァアアアア!!!!」
「グッ....ガ....ァッ....」
「ッヒヒ...ッハハハハ」
「終わりだよ...裁兎...」
と笑いながら乖たんは言う。すると
「っふふ....」
「何がおかしい...」
「はっはっは....!!」
と今度は血まみれの白りんが笑う
「最高の気分だ....」
«?????»
「その姿...」
白りんがその姿になった瞬間...肌で感じた。絶対にヤバいと...あの姿は...
「新たなる領域....これが新境地か....いや、これが本当の余か」
と言葉を放った瞬間。心臓の鼓動が急に早くなる。
その名は魔皇とも万物の王とも白痴の魔王とも呼ばれる存在...
「余は裁判を使ってた訳では無かった....それもそうか....今まで裁判とは関係の無いものばかりの技だったのだから....」
「余は今まで"混沌"を使っていたのだ」
«神々の始祖»
「何故、今まで忘れていたのだ....」
「嘘だろ...」
「こんなの...どうやって勝てばいいんだよ」
なんと...裁判の正体は混沌を司る神...魔皇アザトースだった。しかもその存在が目覚めてしまった。何故今目覚めてしまったのか...更に乖十は大丈夫なのか...




