22:夢の断片
絃夢に話すことを決めた幼なじみ3人組。しかし...絃夢が受け入れるかが心配で...
「...本当に話すんだよね?」
「当たり前だろ...!話さねぇとヤベェんだから」
「じゃあなんでこんな所で止まってるの!」
「それはお前もだろ!!」
と僕と乖たんは休み時間にむーちゃんのクラスの前のドアの前で勇気を出せずにいる。
「ぼ、僕は...」
「....なにやってんの」
と後ろから音も立てずに喋りかけてきたのは
「うぇぁ!?」
「んぅっ!?」
見慣れた姿だった。
「し、白りんか...」
「焦ったぁぁぁ...」
「....どうせ絃夢に言って、絃夢が深刻に捉えて落ち込んだりしたらどうしよ....とか思ってんだろ」
「うぐっ...」
「あ、あはは...その通りです...」
「あいつはそんなやつじゃねぇだろ....あんなのすぐに分かる」
「あいつ、おそらく劣悪な環境の中生きてきたんだろうな」
「え?」
「人と話す時に無意識にずっと敬語でずっと機嫌を伺ってたり、腕を上げただけで目をつぶったり....」
「ずっと無意識下の防衛本能が起きてる」
今、むーちゃんはクラスの人と話しているが、確かにそういう動きをしてしまっている。
「...ほんとだ」
「よく気づくな...」
「気づくに決まってるだろ....ああいう風な人間、早々に出会わないからな」
「要するにだ。お前らが思ってる程、絃夢は弱くない。むしろ俺らよりずっと強い。」
「劣悪な環境にいたのに、生きようと頑張ってんだからな」
「そうだな...!」
「とりあえず話に行くぞ....」
「うんっ!」
色々な事情をむーちゃんに全て話した。
「な、なる...ほど...夢...ですか」
「心当たりはあるか?」
「い、いえ...僕には夢は無いので心当たりなどは全く...ですが、変な夢と言うのには心当たりはあります。」
「えっ」
「どんなのだ?」
「そ、そんなに大したものでも無いですよ」
と苦笑いをしながらむーちゃんは続けて喋る。
「ある時から、とある夢を見るようになったんです。」
「...夢?」
「はい。そ、その夢は小さい時の僕には何故かその夢は怖かったんです。」
と話を続けながらむーちゃんは小刻みに震え始める。
「い、今こうやって話を聞いて思い出してみると、おそらく、あれは昔の...この能力の持ち主の夢だったんでしょう。そして本当は悲しい夢だったんですね...」
とむーちゃんは昔見た夢の詳細を語り始める。
「今日は祭りだな...」
「そうですね〜...」
「おーい英雄様〜!!」
「ふふっ...」
「英雄か...」
「貴方がこの街を救ってくれたおかげで、無事平和に終わったんですよ。」
「...もうあの事件も4年経っただろう。それに俺は当然のことをした迄さ」
「またそんなことを仰って」
4年前、城下町は襲われた。大罪人により。しかし、俺が大罪人を封印したお陰で平和に終わった。町を救った俺は英雄と崇め奉られた。
...本当は俺はあの人のおかげで...
「ん?どこに行かれるんですか?」
「ん?いや、ただ夜風に当たるだけさ」
「そうですか...なら私も着いていきます」
「ん、そうか...なら共に行こう」
俺は小さい時から好きだった人と結婚をし、その人は女房となった。
「いや...本当にありがとうな桜」
「いえいえ貴方のお隣に入れるだけで嬉しいです」
「...よ、よくそんな照れくさいことが言えるな...」
「...ふふふっ!こんなに顔を赤くして可愛らしい」
「う、うるさいな...!」
などと桜と話していると急に
「っぐ...!?」
「夢さん?夢さん!!」
こ、これはおそらく...っ!!
「...さ、桜...お、俺から...俺から離れろ...!!」
「いえ!!そんなこと!!出来ません!!一生、一生貴方を支えると決めたんですから!」
「頼む...近づくな...俺にっ!!」
「い、嫌です!!貴方様のそばを離れるなど女房として、伴侶として失格です!」
...頼む...離れてくれ...俺はお前を傷つけたくないんだ...お、俺はこの先長くない...なんならこの痛み...この変な力で死ぬ可能性がある...だから...離れてくれ!!
「貴方の...貴方のことを昔から愛しておりましたから!!この世界で1番の想い人を見捨てることなど...出来るはずがありません!!」
っ...ああ...桜...お前はそういうやつだった...昔から...そういう...っ...だから俺はお前が好きなんだ...
「...桜」
「...っ!」
「お前と出会ってから、もうそろそろで21年だな...」
「...はい」
「小さい時はお前と遊んでいたな...あの時、俺と桜が遊ぶことをお父様許してくれたの...とても嬉しかった」
「...はい」
「そこから...友人という関係からだんだんとお前に惹かれていったんだ」
「...はい」
「遊ぶ度にお前のことが知りたくなる...もっと知りたい。俺の知らないお前の一面を...と」
「...はいっ...」
「そしてお前とお付き合いをして...お前と色々遊んだりして...」
「...は...いっ...」
「っはは...楽しかったな...そう泣かないでくれ桜。お前は笑顔が一番似合うんだから」
「...うっくっ...」
「こっちを向いてくれ桜。俺の願いを叶えてくれるか?」
「は...い...わかり...ました...」
「俺に消えろと言ってくれないか」
「え...」
「頼む...もう時間が無いんだ...他の誰でもない桜。お前だからこそ言って欲しい」
「っぐ...ぅうっ...は...い...っ」
「夢...さん...いや、夢...」
「うん...」
「消えて...っ」
「あぁ...ありがとう...」
「これで決心が付いた...『消えろ』」
「うぅぅ...あぁ...」
「今まで...ありがとう。桜。これからもこの先もずっと愛しているよ」
夢の永遠の伴侶、桜は泣き叫んだ...祭りの音に掻き消されながらも
「と言う夢でして...」
「悲しすぎるだろ....」
「...うぅっ...うっ...」
「...うぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
「うるせぇ耳壊れるわ....さっきの情緒返せ」
「だっでぇ!!だっでよぉおお!!!」
「あの夢ってっ...ぐずっ...そういう事っ...なのかぁ...っ」
「え、知ってました?」
「し、知ってたわけじゃっ...ないんだけどさ...その話の断片を見たんだよっ...ね...」
「....あの夢はそういう事だったのか....」
「な、なるほどね...解決したっ...なぁ...」
待て....それだともう一つだけ不可解な点がある....何故、絶対権のなっちゃんにその夢が....?能力が似ているから...って訳でもないはずだ....それだけだと不十分すぎる。この件はもっと調べる必要があるな....
「おい乖十、いつまで泣いてんだ」
「うぅ...だっで...」
「ほら行くぞ」
「うう...」
「ありがとうね、この話をしてくれて...僕のモヤモヤも解決したよ」
「はい、それなら良かったです」
「あとは循環を倒すだけだね」
「そうですね...」
「頑張ろうね!!むーちゃん!」
「は、はい!!」
遂に話をし、循環を倒すことを決意する4人。だが、循環はLX。それに理が産んだ息子。4人だけで勝てるのか?




