第一話 最弱で何が悪い
初投稿です!ド素人ですがよろしくお願いいたします!
なんの変哲も無い日常にあるものが現れた
今まで最強と言われた者は弱き者になり
一般人であり最強に扱き使われていた物が強くなる
突変が現れたのだ
ある者はどんな物も元通りに戻せるスキル
ある者は瞬時に破壊に追い込むスキル
火を操り、水を生み出し、雷を纏う
それは全ての者に平等に内容は不平等に渡された
生物自体の突然変異と呼ばれる現象が起き
今は三年が経っている…
「まてごらぁぁぁぁ!」
「最弱野郎が食い逃げしやがったぞ!!!」
「やべぇやべぇやべぇぇぇ!!!」
俺の名前は『中一 心』訳あって最弱と世間では呼ばれている。
「消し飛べ!!!落雷!!」
そう叫ぶ男の腕は青く発光し雷を放つ
「くっっ!!あぶねっ!」
咄嗟に左の建物を目掛け前転回避する
「あんちゃん!?こんな所でスキル使ったら捕まるぞ!?」
「弟よ…捕まるべきはあいつだろ!?!」
「それは間違いない…」
「あのデカブツのスキルは雷か…?弟の方は…それならっ!?」
隠れているはずなのに顔の真横を雷が通る
「ちっ…外しただと…?この速さを避けれる訳が…
弟よ…ミスしてないだろうな…」
「あんちゃん!!僕はヘマこいてないよ!?」
二人は顔を見合わせ確認する
「やっぱりな…弟の方は周囲探知だろう?」
建物からゆっくりと出て2人に向かい合う
「観念したか…外したのは予想外だったが…勝てる気しなくなっただろ?」
「んや、もう逃げ回る必要が無いって分かったよ」
「あんちゃん…あいつ舐めてるよ…もう…ぶっぱなしていいよ!もう殺しちゃおう!」
「舐められてんのか……殺す…」
弟は閉じた目を見開い
「今なら当たる!!」
「落雷!!!」
兄の方から放たれた雷が真っ直ぐ俺に向かってくる
一歩も動く必要は無いだろう
俺のスキルはあだ名の通り最弱だが…勝機しかない…
「死ねぇぇぇ!」
目の前まで来た雷に焦りを感じた…
「待てっ!!!」
だが予想通り物事が進むものだ
「なっ!?」
「あ…」
「スキルを宣誓無しに使い放題してるみたいだが…」
俺の前に立ち先程の雷を左手だけで消し去った男は
二人を睨み言った
「捕まりたいのか?」
「最大権力者!?」
「あー、俺は最大権力者No.8三隅 友路だが?」
「ちっ、違うんです!!そこの最弱野郎が食い逃げを…」
「食い逃げ…?本当かそこの君」
「はい!間違いなく食い逃げしました!めちゃくちゃ美味かったわ!ありがとな!」
「お前ぇぇ…!」
「あ、あんちゃん!?捕まるって!」
呆気なく罪を認めた俺をまじまじと見つめる三隅
「ならお前も逮捕だ」
「出来るもんなら…ね」
「あ、あいつ馬鹿だよあんちゃん!」
「最強ランクのスキルを持つ十人の内一人だぞ!?
とんだ馬鹿だあいつ!」
そう最大権力者とは現世界で最強の能力を持った十人が権力を持ちその他は逆らえない言わば
どんな事でも無かったことに出来るほどの最大権力者達だ
「ほぉ…お前の能力は何だ?」
「軸」
「じく?」
「あー、軸だよその肩書きだけで何も出来ないスキルだ」
俺のスキルは「軸」と言うスキルだ
詳細も分からず誰かを治療する事も非科学的な事も火や雷も出す事が出来ない
単純に世界に一人だけの無能力者の様なもんだ
「ふっ…可哀想だな見逃してやろう」
「そ?ありがとうそれは助かる」
「お前らは…逮捕だ!」
「「なんで!!!?!?」」
逮捕だの一言に続き何処から出てきたのか数人のスーツを着た奴らが二人を抑える
「あいつも捕まえろ!!!」
「このご時世こんな奴にも同情する」
抑えられ白く光る縄で縛られる二人
あれは「超拘束」のスキルだろうか
「しょうがないだろう?スキルを有効活用出来なければ金も稼げず飯も食えない…犯罪者と言えど食い逃げ程度なら一度は見逃そう…だが!宣誓無しに…許可無しに!スキルを使う事は重い罪のはずだが?」
「っ…」
「連れてけ…」
二人は気を失い連れていかれる
「次は無いぞ…弱き者よ」
「ちっ…腹立つ…」
そう言い、歩き去った三隅に舌打ちをする
「最弱ねぇ…皆…なんもわかってねぇな…」
ボソッと愚痴が零れる
三隅は違和感を感じていた
「戦闘中の完璧な判断、雷を避ける反射神経、とてつもない行動力…スキルに嘘は無かった様だが…何者だ…?あの動きは…ただの人間に出来る動きじゃない……まさかな…まさか…!?」
何かに気付き振り返るがそこに心の姿は無かった
「まさか…元騎士では…流石にそれはないか…あの日真っ先に消されたはず…」
今日は天気がとてもいい!
「久しぶりに散歩でもするか…」
寝起きのコーヒーの後片付けをしながら俺は
窓の外を眺めた
散歩の準備をし部屋を…
「あっ!!あぶねぇ忘れる所だった!最近俺には平和過ぎてボケてるな…」
ベットに置かれたままの愛刀を背にかけ部屋を出た
「雛夢…お前だけはずっと一緒だ…」
愛刀の鞘に書かれた雛夢の文字を撫でながら街に向かう
太陽を小さな黒い雲が一瞬隠した
「なんか…妙な胸騒ぎがする…三年ぶりだ…」
街を歩きながら今日の飯所を探す
「この前の店潰れてるじゃん…捕まったもんな…」
数日前の二人を思い出し笑いする
「きゃー!!!!」
道の向こうで大勢の悲鳴が聞こえた
なんだ…?
「なんかあったのかな」
只事では無いと思いジャンプする
俺にとっては普通だが…周りの人からすれば異常なのだろう
最弱と罵られている俺が…無能スキルの俺が
3階建ての家の屋根にひとっ飛びした事が…
悲鳴の方向へと体を向け屋根を走る
前傾姿勢、足場を踏み外さぬよう足先を揃え走る
人集り…
「あそこか…?」
「や、辞めてくれ…!この子は何もしてない!!」
「黙れ…沢山の通報があった…」
最大権力者の三隅友路が子供の首に刀を向けている…
「パパぁ…」
「この子が何したっていうんだ!!!」
「その路地で三人の死体が見つかった…そこを離れろさもなくばお前も切るぞ」
「子供が人を殺したりするわけ…」
「ふざけるな…そのガキのスキルは斬撃だ…殺せるだろ…」
犯人扱いされる子供を庇うように覆い被さる男の首に三隅は刀を当てる
「離れろ…現場処刑だ…危険分子は消す」
「や、やめろ!」
「…お前ごと殺すしかないようだな…」
刀を振り上げる
「我らに楯突く行為も!罰の対象だ!!!」
街中の人は目を手で隠す
泣き続ける子供を守る目をつぶった父
刀を振り下ろす三隅…
「暴論だろ…!」
咄嗟に体が動いた目にも止まらぬ速さで間合いに入る
振り下ろされた刀を愛刀…雛夢で防ぐ
自身以外からは認知されない妖刀…雛夢は
三隅の刀を二つに折った
「!?」
まさかの事態に三隅は後ろに距離を取る
「…やはりか…最弱…お前はただの最弱では無いな」
「察してんの?やるじゃん…見過ごせねぇなその行為」
「構うな!殺すぞ?」
「やってみろよ分かってんだろ?俺が誰か…」
「生物自体の突然変異の前まで最強騎士と謳われた伝説の男…中一 心ぉ!!」
俺の存在に確信を得た三隅は猛攻撃を仕掛けてきた
「消去!!」
伸ばした右手を難なく避ける…
触れた家が丸ごと消えて無くなった
「お前のスキルは消去…か肩書きの通り最強の能力だな…」
「ふっ…身体能力や状況判断は鈍ってないか…流石だな…
四人で…謎の生命体…魔王を倒し世界を一度救っただけの力を持っている…」
「丁寧に説明どうも!助かるわ!」
「最後の生き残りが…貴様らの時代は終わったんだよっ!」
「そう?なら…殺してみろ!」
「再構築!!!」
今度は真上に先程の家が現れた…消すだけではない…!?
「雛夢…踊れ!」
雛夢は宙を舞い空を斬った
その場に心と三隅の姿は無くなった
先程までとは一変し見知らぬ地に来た三隅は辺りを見渡した
「どこだここ…何をした?」
「雛の夢だよ…」
「まぁいい、殺す」
「ここなら安心して戦える…久しぶりに来た…独擅場」
ここは…俺らの…最高の舞台だ
「最弱が調子に乗るな…」
「最弱?それは僕の事だろ?雛夢は最強のスキルだよ…初の突変を手にした物だ…スキルは…無認知、幽閉…等々…多重持ちさ」
「物が初のスキルを手にしただと…?」
「そう…だから俺達は戦えた…強くなりすぎたんだ…だから人々に配布される形で釣り合いを取ったんだよ、神は」
俺が最弱で…何が悪い?