日常
なんかさ。
そう、お風呂。
お風呂のね、お湯の出るところ。給湯口?
そこにね、指を入れてさ。
お湯が出てくるのを、邪魔してやるの。
それでさ。
ぐぐって、お湯の方が力が強くなって、結局、出てくるじゃない。
そうすると、ああ、負けたなって。
私の努力って、なんだったんだろうって。
毎日、感じるんだ。
日常って、その繰り返し。
☆
とか。
とか。
とかとか。
いっつもおんなじ。
インクの切れた万年筆みたいに、紙をがりがり、引っ掻いている感じ。
インクの切れた万年筆みたいに、紙にがりがり、引きずっている感じ。
車の窓の向こう側に見える景色。
関心のない信号。
興味のないバス停。
散歩している犬。
転がっていく自転車。
喚く人。
ガラスを震わせて入ってくる、音。
耳を塞ぐように上げるボリューム。
かえって大きくなるだけで意味をなさないノイズ。
☆
明日は晴れ?
それとも雨?
どっちだっていい。
だって一日の大半は屋根の下。
一瞬のために買い直した雨傘は満足に使う前に壊れて。
重くなったカバンの底で、身動きの取れないままにぺしゃんこになる。
カピカピに乾いたサンドウィッチ。
いつ封を切ったか覚えていないペットボトルと一緒。
重いだけ。
重いだけ。
役に立つのはモバイルバッテリーくらいの荷物。
震えないスマホ。
テザリングでつながるPC。
誰と。
どこと。
☆
ああ。
お湯があふれてきた。
今日も負けだ。
ありがとうございました。




