一緒に生きたい
「纈ー」
実家から届いた段ボール箱を受け取り、あまりの重さにこたつでくつろいでいる纈を呼んだ。
「運ぶの手伝ってーまじ腰抜けそうだわこれ」
ごにょごにょと小言を言いながら纈が玄関まで来てくれた。
「めちゃ寒っ!何入ってんのそれ」
纈は小豆色の半纏をブルブル震わせながら玄関までやってきてくれた。
段ボールのガムテープを剥がし中身を確認すると人参やらじゃがいもやらが山ほど入っていることがわかった。
「わーすごー山形から??」
「うん、いつもこれでもかってくらい色々入ってんだよね。ほら餅までこんなに」
1人では到底食べきれないだろう餅の数に、纈はケラケラと笑った。
「…でも今年は食べ切れるかもね」
ふと、そう言った纈の顔を覗くと冬の寒さのせいかはたまた俺の思惑通りのことなのかはわからないが、頬が赤く染まっていた。
「…そだな」
俺は先日同棲を始めた纈と初めて迎える正月を、心の底から嬉しく思いながら、白く吐息を吐く唇に自分の掠れた唇を重ねた。
2016年大晦日。大事な人と過ごすその時間は本当に幸せで、小さなアパートのベランダから見る朝焼けは俺達の未来を照らす光のように---
ピカ
その後のことは本当に一瞬だった。朝焼けだと思っていた光が強くなり、あれ、と思った時には世界が全て吹き飛んだ。
俺はただひたすら纈の手を握った。強く、強く握って、纈は痛くてたまらなかっただろう。でも、そうでもしないともう2度と会えないんじゃないかという気がして、俺はただひたすら纈の手を握った。