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ゲノム・グレムリン  作者: 大塚めいと
第7章 S・B記
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66/89

7-5 「ゲノム・グレムリン」

『機械やコンピュータが原因不明で異常な動作をする事をグレムリン効果と言ったりする』

※Wikipediaより引用

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%83%B3

7‐5 「ゲノム・グレムリン」





[2300年10月23日 23時12分記録 ジンボ・ムーンの独白]


 ショーン君……君はとうとう明日コールドスリープ装置によって長い眠りにつくことになる……この決定を覆すことが出来なかった僕を許してくれ……何年先になるか分からないが、君が目覚めた時にこのメッセージを聞いているとして、僕は君に謝罪したい……いや、本当なら君だけでなく、君に関わった全ての人々及び……メグちゃんにも……謝らなければならない。





 実はね……君に渡したボイスレコーダーは、盗聴器でもあったんだ……つまり、君がレコーダーに呟いていた言葉は全て僕に筒抜けだったんだ。





 なぜ僕が君にそんなことをしたかと言うと……いいわけがましい言葉を使えば、命令されていたからだ……。





 僕はA国機密機関の[上の力]から君のプライベートな情報の取得を命じられていた。





 [上の力]は、手っ取り早く君の【グレムリン効果】が及ぼす最大効果範囲を知りたかった。




 君の能力の発動にメグちゃんが深く関わっているコトが分かれば、スグにでも恋愛感情を抱かせ、最高に気分が高まるシチュエーションを作らせるように君達の動きをコントロールしていたんだ。





 君達が映画館を抜け出すのも、全て僕と[上の力]にはお見通しだった……その上であえて街中で君達に【グレムリン効果】を発動させるお膳立てをしたんだ。死者が出る危険性があると知りながら……。





 不思議だったろう? その後君の部屋にメグちゃんが訪れた時、ドアのロックがされていなかっただろう……それらは全て僕の仕業だ……。





 その直後に君が爆発させた【グレムリン効果】の出力は凄まじい物となり、同時に君の能力の全貌も[上の力]の科学者は突き止めたらしい……。





 そして君はお払い箱となった……。





 メグちゃんが取り返しのつかない結果になってしまったのは……ブラックマン博士が凶行に及んでしまったのは……全て私の責任だ……本当にすまない……なんと言って謝ればいいのか分からない……。





 それで、僕はせめてもの償いとして、[上の力]に強奪された君やメグちゃんの会話データ。そして、【グレムリン効果】の解析データを盗み取れないかと画策した。





 苦労の甲斐あって、それらのデータはほぼ全てこちらの手に納めることに成功したが、その際予期しないデータも同時に発見してしまった。





 それは[人類電子化計画]という恐ろしい計画の草稿だ……僕はそれらのデータを全て君と一緒にコールドスリープ装置に閉じこめることに決めた。





 なぜ危険を犯してまでこんなコトをするのか……それは僕自身にもよく分からない……でも、何か[見えない力]が僕の心を動かしている……今はそうとしか説明が出来ない……。





 でも、僕が今こうしていることも[上]のシナリオ通りに動かされいるのではないか? と思うこともある……もっと大げさに言えば……[人類の意思]がそうさせているような……そんなスケールの大きな局面に僕は立たされている気がしてならない。





 未来のショーン・ボーナム君に残すメッセージはコレでお終いだ。





 君やメグちゃんと一緒に過ごした日々は一生忘れないよ……





 僕が言う資格はないのかもしれないけど、楽しかった……





 いつかまた会いたいよ……それじゃあ……さようなら。 ショーン・ボーナム君。





 おやすみなさい[グレムリンの遺伝子]







『グレムリンは永い眠りにつく。恋人との再会を夢見ながら』






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