プロローグ
初投稿です
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9月、これ残暑って言えんのか残りすぎだよレベルの暑さの中。
二人の少年が汗だくになりながらだれていた。
灰色の長袖Tシャツをまくり、死んだ目で天井を見上げているのが江崎 優斗。
焦点の定まっていない目を床に向け、壁に寄りかかってうなだれているのが新河 求夢。
二人は親友と呼べる間柄にあり、今日もまた貴重な夏休みを求夢の家で浪費していた。
何故わざわざそんな暑い部屋にいるかというと、単純にそれ以外の場所へ移動するのがめんどくさかったからだ。
クーラーが壊れ扇風機もつかず、窓は開けているが気休めにもならない。
一応飲み物はあるので熱中症の心配はないが、それもすっかり温くなってしまい不快感だけが残る。
「おい、アイス買って来いよ」
「金と自転車と涼しさ寄こせや」
「無理に決まってんだろバーカバーカ」
「仮にも学年一位に馬鹿呼ばわりはどうかと」
「「あっはっはっはっは。」」
そしてこの会話ももう何千回としたやり取り。
そう。涼しくはなりたいが動きたくない。
いや、むしろ少しでも涼しくありたいからお互い動かない。
顔を温度計に向けてみれば、気温は30.5℃と表示されている。
「もーむり…しぬは…」
「しぬなーいきろー。」
「おーうがんばるー」
「そか…」
やる気のない棒読みの会話が続く。
お互いにもはや会話すらいらぬ労力と感じている節がある。
じゃあもう帰れよという話にならないのがまた不思議だ。
面倒だから自分から言ったりはしないが。
「この空気を吹き飛ばすには清涼な百合画像を見るしかない…」
「ついに頭沸いたか」
罵倒を華麗にスルーし、床のスマホに手を伸ばした瞬間。
「アッ゛!?」
「ウッ゛」
一瞬の圧迫感のあと、身体が指一本動かせなくなってしまった。
声を聴くに、どうやら求夢も金縛りにあったようだ。
しかも口や目すら例外ではないようで、お互いの状況を確認することすらできない。
「・・・」
「・・・・」
本当に物音ひとつしない中、いまだ生き残っているしぶといセミの声だけが響く。
(なんだこれマジ意味わかんねぇ…いつまでこのままだよ…)
体感時間で一時間程たった。
最初のほうこそ真面目にこの状況を考察していたが、次第にそれすら面倒になりただぼーっとしていた。
不思議なことに目も口も開きっ放しでも渇きは感じず、それが逆に思考を鈍くさせた。
どうすることもできず、このまま寝てしまおうかと思ったその瞬間。
何か床がめっちゃ光った
優斗「そう!鉄板的なプロローッグ!」
求夢「実際目開けたまま寝るとかきつくね?」
つづく