第七七話【ある日の転生者と転移者との会話】
「なあ、ケニー。」
「なんだい、コルス。」
「モンスターのリポップ、ってなんだ?」
「あれかい? ライフルで引き金より後ろに弾倉があるやつ。」
「それはブルパップだ。全然違う。」
「アメリカの曲かな?」
「それはロリポップ。」
「ええと、再出現とかそんな感じの意味だと思うんだけど。」
「モンスターアロケーションセンターみたいなものなのか?」
「そう……なの……かな?」
「徘徊するワンダリングモンスターに対して、固定出現させるための安定供給装置というところか。」
「たぶん、そんな感じじゃない?」
「なあ、ケニー。」
「なんだい、コルス。」
「魔物の体内に魔石があるって、何処の世界の話なんだろう?」
「生体エナジーとか魔力供給源とか、理由は複数あるみたい。」
「なんかいろいろ使えそうだな。」
「魔力を封じ込めた石となると、ルーン文字が刻まれているのか?」
「使うと一定確率で破損したりして。」
「なあ、ケニー。」
「なんだい、コルス。」
「この世界で魔法を使える人材は稀少だが、無詠唱とか詠唱破棄ってなんだ? 魔法を使うのに詠唱は不可欠だろう。なんで詠唱しないで魔法が使えるんだ? 高速詠唱なら話はわかるが。」
「実は同様の効果を発揮してはいるが、呪文のように見えるだけで別物とか。」
「成程。それなら理屈が通るな。」
「なあ、ケニー。」
「なんだい、コルス。」
「酒とSF、或いは時間魔法が関わる話になると短期で長期熟成と同等品を作れるような話が出てくる。」
「ああ、たまにコルスがやっているやつか。」
「瓶詰めの状態の蒸溜酒を何年経過させようと、熟成はしないぞ。」
「な、なんだって!?」
「初歩的な間違いなんだが、商業作品は兎も角、それ以外は間違っている作品をちらちら見かける。」
「そうなのか。」
「泡盛は例外だが、瓶詰めのまま経年変化させたら大抵ひねた味になると思う。」
「ひねた味?」
「わ、これ、古い、という感じだ。」
「ふむふむ。」
「じゃあ、樽を経年変化させたらいいのかといったら、これも年二パーセントは『天使の取り分』がある。だから、調子に乗ってそのまま五〇年経過させたら全部蒸発して元の木阿弥だ。」
「うわあ。」
「そもそも強制的に時間を経過させて旨い酒を呑もうとしても、上手くいくかどうかはわからんぞ。」
「どうして?」
「じっくり熟成させるのと促成栽培的に熟成させるのとではどちらが旨いと思うか、って単純な問いかけで答は出るさ。」
「真冬の西瓜みたいなもの?」
「まあ、そういうものにも需要があるから、こうしてオレたちも潤っている訳だ。」
「カラメル色素をトカドカ入れている訳ではないんだから、問題ないんじゃない?」
「まあな。カラメル色素をバンバン投入して、炭化寸前かと思うくらい内部を焼いた樽を使ってなければ、一〇年以上熟成させても琥珀色は殆ど付かないしな。だから、数年しか熟成させていない筈のウイスキーが濃すぎる紅茶みたいな色をしていたら紛い物だ。」
「お酒は奥が深いねえ。」
「闇も深いのが難点だ。」




