第七五話【春祭Ⅲ】
コルスが可愛い。
元々可愛いが、今回、更に可愛くなった。
本人は春祭仕様だと言っているが、わたしとしてはずっとこのままでいいと思っている。
村の祭も佳境を迎え、いよいよ最終日。
三日間続いたハレの日も今日で終わり。
さみしい気もするが祭はこういうもの。
余韻の残るくらいの期間が丁度いいわ。
最初の予定ではケニーの結婚式が最終日の主な催しだったのだけど、元公爵家の三人娘を見てあのおっさんは躊躇した。
幼すぎるので、婚約に留めようと言い出したのだ。
商人のアヘヒロが戸惑った表情でおっさんを見る。
関係者一同が、困った人を見る目付きで彼を見た。
美少女仕様のコルスが先陣を切る。
「トニーだって、ハンナと結婚したのはあのくらいの歳だ。問題ない。」
「意義あり! コルス、あの子たちは幼すぎて問題だらけじゃないか!」
「この世界で問題に思う者は誰もいないぞ。嘘だと思ったら、アヘヒロやトキタに聞いてみるといい。」
「ちょっとちょっと待って! なんでみんな平然としているの? こんなおっさんとあんな小さな女の子たちが結婚するんだよ? こんなのおかしいよ!」
「ケニー。」
「なんだい、コルス。」
「インド辺りだったら当たり前だ。」
「私はインド人じゃない! それにここはインドじゃない!」
「ケニー。」
「なんだい、リーネ。」
「人間、諦めが肝心よ。」
「そうだ、トニーは? 彼ならこの結婚に対して反……。」
「トニーなら元公爵家のメイドたちにちやほやされて、ハンナからお仕置きされていたよ。」
「なんてこったい!」
ケニーはしぶとく抵抗したが、彼以外の全員から説得されてようやく折れた。
とどめは当事者の三人娘。
玉葱は大変効果的だった。
手間のかかるおっさんね。
花の舞い散る村で結婚式。
娘たちは大変美しかった。
もったいない。
小さな村祭の最後を飾る催し。
わたしはコルスを抱き締める。
いつかいつか、こんな風に挙式出来たらいいな。




