第四五話【むしまん】
「「温泉地と言えば、蒸し料理!」」
わたしのコルスと、ケニーと名づけられたおっさんが仲よく料理教室を開いている。
お揃いのエプロンがちょっと厭かな。
まだまだ寒いが、春は近づいていた。
風は冷たいが晴れの日は増えている。
春になると往来が活発になってくる。
湯治客や観光客を迎える準備の一環。
それが今回の料理教室。
コルスは用意周到だから其処がいい。
もっと頼ってくれていいのにと思う。
わたしはリーネ。
闇エルフのリーネ。
翼竜の幼体のミューやおっぱいエルフのサーニャと共に、村の宣伝材料になっている。
温泉村で行われる料理教室。
近隣及び遠国から訪れる料理研究家や熱心な主婦らが集う場所。
序盤は簡単な蒸し料理。
蒸し野菜。
蒸籠という道具が開発され、蒸し料理は飛躍的に発展している。
蒸した馬鈴薯やサツマイモにバターを付けて食べるのもおいしい。
葉野菜を敷いて、肉を蒸してもおいしい。
蒸した鶏肉や猪肉や腸詰めも紹介される。
脂っぽさが程よく抜けてなかなかうまい。
コメがどうしたとかアズキがどうしたとか二人は意味不明なことを嘆いているが、正直なところ、なんだかよくわからない。
今まではコルスがぶつくさ言うだけだったが、今ではケニーが加わって意味不明ぶりに磨きがかかっている。
まあ、おいしければそれでいいのだ。
蒸し野菜や蒸し肉でその有用性に気づかせ、次に二人はプディングに移る。
玉子料理のあまいもの。
蒸気を利用して作るから経済的でもある。
二重の意味でおいしい。
雪で冷やして食べると、また乙な感じだ。
焦がした砂糖の汁をかけると更にうまい。
講習を受けている面々にも好評だ。
蒸し饅頭が振るまわれる。
ほっかほかのあっつあつ。
蕎麦の実がこんな皮に変わるだなんて。
中の芋餡がほくほくして大変おいしい。
コルスはどうして、こんなに詳しいの?
「後はアズキ餡だな。」
「アズキはあるかな?」
「わからんが、ないとも言いきれない。」
「ダイズも欲しいね。出来ればコメも。」
「どこまでおいしく出来るかわからないが、兎に角突き進むまでだ。頼りにしているぞ、ケニー。」
「わかっているさ、コルス。」
男の世界を作っていてなんとなくムッとして、コルスを抱っこした。
なんか言っていたけど知らないわ。




