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第二四話【赤い髪の騎士見習い】

累計アクセス数が一〇〇〇〇件を超えました。

皆様のお陰です。

本当にありがとうございます。


わたしの名前はアンネリーエ。

アンネリーエ・ミュールマイスター。

オーファーアイセルの街に住んでいる下級貴族の娘。

名ばかり貴族の父は温泉村への移民にわたしを推挙し、金貨五枚を入手した。

わたしの料理名人で裁縫の名手という腕が買われたらしい。文字通り。

王都で騎士見習いをしたいという弟の旅費も併せて貰い、アルコール依存症の父はたいそう喜んでいる。

浅ましい。

同じ血が流れているかと思うと悲しくなってくる。

てーゆーか、むっちゃ腹立つわ。

昔は勇ましい騎士だったが、今では見る影もない。

やーねー、酒に溺れちゃってさ。

昼からあんなに呑んでいては然程長くないだろう。

わたしがいなくなったら、長生き出来ないだろう。


わたしは一つだけ条件を出した。

隣に住む、下級官吏の息子である男の子と一緒に移民したいと願ったのだ。

まー、わたしが頼んだら二つ返事なのはわかっているんだけどね。

その名はフリートヘルム・キルステン。

一〇歳の男の子。

彼ならば素晴らしい騎士になるだろう。

たぶん。

白いシャツに黒い半ズボンもよく似合うし、五歳年上のわたしを慕ってくれている。

これはもう辛抱たまらない。

思わずむらむらしてしまう。

何故わたしの外見は儚げ系美少女なのだろうか?

わたしに幻想を抱いているフリートを陥落する難易度が高まるばかりだ。

嗚呼、添い寝したい。

弟はフリートを自分の子分にしたいようだったが、わたしの夫になればみんな一族じゃないと説得した。

誤魔化したともいう。

彼が義理の兄になってしまうことは話さなかった。

いつ気づくだろうか。

弟は天才肌専門系おバカさんなので、案外なかなか気づかないかもしれない。

あの父親の血を引いているし、ないとは言えない。それはそれで悲しいけど。

頭の中は戦って勝つことばかりだから、女の子をあてがった方がいいのかな?


「わたしは独りで向こうに行くのはさみしいし、フリートがいてくれたら百人力なんだけどなあ。赤毛のあの子がいてくれたら、とっても心強いの。わかってくれるわね。わたしがどれくらいフリートを大切に思っているか知っているわよね? 知っているわよね? 知っているわよね?」


にこにこと微笑む。

もごもごと口ごもる弟。

弟は威張りんぼだけどわたしに逆らえないから、ちょっと意地悪してしまった。

顎を撫でたり、頬に手を当てるだけで真っ赤になってしまうやんちゃな男の子。

お姉ちゃんっ子だから扱いは楽チン。

少し涙目の弟を見るとゾクゾクする。

フリートは少々のことでは泣かないだろうけど、だからこそ、いろいろ出来そうで今から楽しみだ。

ふふふ。





フリートヘルムに移民の話と婚約の話をして、混乱する彼を抱きしめる。

わたしに任せてくれたら大丈夫よ。

なにも心配しなくていいから。

ご褒美の口吸いに静かに興奮しているのは見ていて飽きない。

いいわ、とてもいい。

狙い通りだわ。

こういう真面目な子をわたし好みにするべく、もっと頑張らなくっちゃ。

フリート。

わたしのフリート。

ふふふ。

これからがとっても楽しみだわ。





僕の家がオーファーアイセルの街に引っ越した当初から、隣のミュールマイスターさんのお姉さんはとても親切だった。

手作りの焼菓子をくれたり、服の破れ目を縫ってくれたりした。

面倒見がいい人なのだろう。

彼女の弟で僕と同い年の子はずいぶん生意気でやんちゃだったから、あちこち連れ回された。

正直、勘弁してほしい。

ちょっとうんざりしたけど、お姉さんのアンネリーエさんがやさしく撫でてくれたり抱き締めたりしてくれるから、まっ、いっかと思っていた。

びっくりしたのは、温泉村という北の寒い村への移民にアンネリーエさんが参加するという話を突然聞いたからだ。

片道一ヵ月くらいはかかるという場所だ。

そんな。

弟の方は王都で騎士見習いをするらしい。

僕には関係ない話だが。

彼に騎士修行の同行を誘われたが、きっぱり断った。

その夜、僕はアンネリーエさんの訪問を突然受けた。

彼女は僕と婚約したいと告げ、驚く僕の口を吸った。


「これで信じてくれた?」


微笑むアンネリーエさん。

天にも昇る心地だ。

僕はその時、生涯彼女のための騎士であることを誓った。

彼女の勤め先は温泉旅館で、そこには何人かの少年少女がいるらしい。

コルスという、僕よりも年下の男の子がそこの子で移民を計画したそうだ。

とてもびっくりした。

村には騎士が何人もいるそうだから、手ほどきもしてくれる。

アンネリーエさんを守れる騎士になろう。

そして、彼女のお婿さんとして恥ずかしくない働きをするんだ。

一緒にお風呂に入ろうね、と約束されながら僕は誓うのだった。




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