俺は町の超常に触れる
母さんを退院させた。彼女は精神だけフォームレスに飛んでいるだけで体調が悪いわけではない。必要最低限の医療機器のみを手にいれて、家にいてもらうことにした。
その夜またもや親父のように見える黒い奴が現れたが大分慣れてきたのか今回は少しドキドキしたくらいですんだ。母さんが側に寝ていることもあり、まあ本当に親父の霊か何かだったら母さんや俺には手を出さないだろう。
先日の公園に出掛けると、例の少女に出会う。
目が合うと、お兄さん、と言葉少なにだが手をふってきた。彼女はまた砂場で一人で遊んでいた。お昼ということもあり他の子供が数人公園に遊びに来ていたが、砂場には近づこうとしない。
「まー君、砂場空いてるからお城でも作ったら?」とお母さんらしき人が促すが、じっと砂場を見て、首を降ってブランコの方に走っていった。
反応を確かめるために、いきなり大声で奇声を放つと、その少女はびっくりして振り向いた。反応は普通の少女のようだな。
ただし周りの子供達はもっと過剰に反応して「お母さん~変な人がいる」と泣き出したりしたため、俺は急いで公園から離脱した。
まだ時間があったので帰り道に商店街で大量の駄菓子を購入して町をみて回った。
例えば裏山にある新木神社の前を歩いていたら、鳥居の上にからす天狗が座っていてこちらをみていた。
びっくりしてそいつを見ていると、そのからす天狗もびっくりしていた。
とりあえず駄菓子袋からうまい棒を取り出してそいつに投げてやったら片手で受けとり、目で会釈をしてきた。
また、町外れの有名な心霊屋敷を覗きに行ってみたら、中には小さな子供、服装からして座敷わらしだろうか? がいて、お菓子をねだられたのでうまい棒を一つ差し出したら、喜んでいた。
世の中はこんなにも不思議な世界だったのか。とっても斬新。
相変わらず学校にも得体の知れない奴らがうろうろしていたが、基本的あまり害はないらしいから放置している。
ただ、この前肩こりだというクラスの同級生の肩に座っていたまりも見たいな奴を軽く払ってやると、肩こりが治ったらしい。
まりもはフワッと浮いてどこかに行ってしまった。
次の日は別の奴の肩に乗ってるのを見た。
「涼~、慣れてきたみたいだね」
一週間もすると本当に慣れてきた。そうだな、と頷く。
飛鳥から今日の放課後ちょっと付き合ってと言われた。用事の内容は行ってなかったけど、付き合う予定だ。
放課後、俺と飛鳥は、寂れた洋館の前に立っていた……
いかにも何か出そうだ。俺は重苦しい雰囲気を感じている。
「飛鳥、ここに何の用事なんだ?」
洋館の表札には『葛城』とかかれている。有名な幽霊屋敷だそうだ。
飛鳥が右手を挙げたーーと思った瞬間に俺は、いつかみた白い空間にいた。
飛鳥は何時もの学生服ではなくスーツに淡いネクタイた。
スッと棚が現れ、飛鳥は棚からもぞもぞと何かを取り出して「はい、これ持って」と、小さな赤い宝石を渡された。
「なんだこれ?」
「これは僕の実家から持ってきたものなんだ」
「これをどうする?」
「それを使って涼の練習をするよ~」
嫌な予感がする……