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友達は悪魔野郎  作者: pauel
日本編
5/23

悪魔異変


 涼はダッシュして逃げた。あり得ん。壁にめり込みやがった。悪魔契約で力が増したのか?


 しかし先ずは壁のトラブルから脱出するのが先だ。弁償するお金は無い。俺もこれで犯罪者か。やさグレた目で空を見上げるが、すぐに笑いが込み上げる。まあバレなければいいんだと。

 とは言うものの俺に何かあれば母さんが困る。今後は自重しなければならない。


 壁のトラブルから逃げ切った俺はそのまま病院に行き母さんの病室を訪れた。

 母さんの腕には点滴の針が刺さっている。血色は良いようだ。


 「看護士さん母さんは意識が戻りますでしょうか?」


 「きっと戻りますよ!」


 「 だといいんですがね……」


 「お母さん調子がイイ時は独り言というか寝言っポイこと言いまッスから」


 何だその微妙な言い回しは……と、俺は益々不安に駆られる。


 「ほらっ! 今の聞きました?」


 「え、本当ですか!」


 「ほら、耳を澄ませてみて……」


 しばらくすると確かにゴニョゴニョ言っているのが聞こえる。


 ……ん?


 良く聞き取れないが『主人』がどうのこうの言っている。


 ふーむ……


 「昨日は何か言ってましたか?」


 看護師によれば途切れ途切れだが『魔界』とか『制服』とか寝言を言っていたとか。


 どうした母さん!

 ゲームをやっている夢でも見ているのではないでしょうかと看護士さんは笑っている。


 俺の知る限り母さんはゲームとかやらない人だったけど。


 こんなに寝言を言うくらいなのでそのうち目覚めるだろうと、看護士さんは言う。


 しかし母さんは暫く起きないような気がする。やはり飛鳥の世界で何かやっているのではないか。見たこともない、存在も分からない世界だか。


 しかし……飛鳥のいうことがハッタリでなければ後45年か、無理だな。金銭的にも1ヶ月も持たないだろう。


 明日、学校で飛鳥に交渉してみよう。


 やれやれ、家に帰るとするか。ああ、お腹が空いた。


 俺は飛鳥と契約することで彼にエネルギーを供給する身体になっているので直ぐにお腹が空くのだ。


 病院からの帰りに100円ショップで大量のお菓子を購入する。 それをかじりながら家に向かった。

 家で冷蔵庫を開けるが空だーーそういえば飛鳥にジャンクフードをたしなめられたな。何か料理しようかと思ったが、材料がないなら仕方ない。とそのままソファに倒れ込み、寝てしまった。



 ピンポーン、ピンポーンーー


 目が覚めるとチャイムがなっている。しかし身体が動かない。動きたくないーー


 ピンポーン



 しつこい。放置だ。



 暫くして静かになる。 ふん。



 カチリーー 俺はギクリとした。聞き慣れた鍵が回る音だ。 鍵を開けられた。誰だ、母さんか?


 いや、そのはずはない彼女は病院だ。

 すると誰だ?


 考えようとするが、思考がまとまらない。寝起きで頭が重い……


 みし。



 みし。



 一歩一歩と、涼の寝ているソファーのあるリビングに近づいてくる。



 おい飛鳥! と呼び掛ける。






 すると、飛鳥が買物袋を抱えて現れる。






 そんな気がした。絶対そうだねこりゃ。あいつのことだから、涼が不摂生しているのを見てられないと言って買い物袋に食材を詰めて現れるのだ。


 全く世話焼きなやつだ。


 何か作ってくれるのかなぁ? お腹すいたぜ全くこの際だから男の手料理でもいいや、まあ飛鳥はそれなりに格好いいし生理的には受け付けるというか百歩譲って受け付けない訳ではない。 

 それにあいつはいいやつだよ。俺ら親子のピンチを救ってくれたんだし。事故から少し邪険にしてきたけど、もう少し優しくやろうか。



 みし。がさ。





 そうだ! あいつにも俺の料理を作ってやろう。袋ラーメンは確かにインスタントだけど、卵とか、野菜とか入れればそれなりにヘルシーだと思うんだ。あいつ嫌がるかな。




 カチャリと、リビングのノブが捻られる。



 首の後ろがゾワッとし、本能的に離れたいと感じる。


 あっ、イヤな感じだ。ヤバい。飛鳥じゃない。これは違う。駄目だ。逃げろと自分にい言い聞かせる。



 涼は自分でもびっくりするくらいに素早く立ち上がる。イケるーーリビングの窓に拳を叩きこむ。開ける時間が惜しい。手は大丈夫だ、悪魔契約で強化されている……に違いない。


 後ろに気配を感じる。もう、部屋の中に入ってる。後ろに気配を感じるがそのまま窓を叩き割り外に躍り出る。



 身体が軽いし力が湧いてくるーー気がする。

 

 しかし一瞬バカなという感覚に襲われる。あまりに現実的ではない。後で寝ぼけた自分を責め、割れたガラスを掃除するかもしれないーー



 窓の方を振り向くと、割れた窓から何かが顔を突き出してこちらを見ている。


 振り向かなければよかった。うわああああああ! 涼は全力で走り出した。



 あれと目があった。寒気がする。鳥肌が立つ。




 やめてくれ。あれはーー




 死んだ親父の顔だった。






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