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「好きだ」


「ああ、ここの料理美味しいんですよね」



さて、どうしたことか。

私は今までなんとか言い訳をしてはこの人の誘いを断っていた。

それがなぜ今日は回避出来なかったかといえば簡単。

彼がバイト先まで来てしまったからだ。



『いらっしゃいませ。……て、こんにちは』


『……よぉ』


『お買い物ですか?』



浮かない顔のハジメさんに聞けば、小さく頭を横に振った。



『ユキ、何時までだ?』


『え、6時ですけど』


『………待ってる』


『は!?』



こうなったら逃げられない。

彼氏かと騒ぐ女性スタッフをなんとか宥めて時間いっぱい働いたのは、まさか冒頭のようなボケをかます為ではない。

だからといって応えられない。



「この間のこと、聞いたよ」


「…ああ、海ですか?」


「違う。赤石を問い詰めた」


「そう、ですか」



俯くハジメさんの表情は見えない。

私はコーヒーを喉に流し込む。



「なんでっ、アイツなんだ!?」


「赤石さんは優しいだけです。あの人は悪くない」


「でもそれでユキが傷ついたら意味無いだろっ」


「私が自分で傷つくことを望んだんです」


「っ……」


「傷ついて迷惑を掛けて。そこまでしても、忘れたくないものがあったんです。……ハジメさん」



呼べばようやく顔を上げた。



「やめましょう。あなたがそれを望むなら構いませんが、これじゃあなたが傷つくだけです」




(届けられたラブソング)




まるで自分を見てるようで。



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