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結局、私はそのまま赤石さんと帰った。
自ら傷つく事を望んだ私に、赤石さんは優しかった。
条件は一つ。
私も既成事実とか、そういう女の狡い技を使うのは嫌だった。
愛は、無いこともなかった。
もうすでに心はボロボロだったから、せめて身体が傷つかないように。
赤石さんの、優しさだった。
「ゴメンナサイ」
「本当に、帰れるか?」
「大丈夫です」
本当は怠いし痛い。
でも、これ以上の迷惑は掛けられない。
「次に会う時には、私もちゃんと吹っ切りますから。だから、その時は友人として、ほんの少しだけまたお話して下さい」
「あぁ、約束する」
「本当に、ご迷惑おかけしました」
「良いんだ」
嫌われて当然と落ち込んだ私を慰めてくれた。
「私は、あなたを好きになれて幸せでした」
「っ、ユキ…」
「また、学校で」
「……気をつけて、帰れよ」
「ありがとうございます」
次に会う時は、目一杯の笑顔で。
そう心に決めて、赤石さんに背を向けた。
(涙に滲んだラブソング)
帰り道。
これで最後だと、溢れた涙は止めなかった。