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お魚、お野菜、お卵…?
「おっ、ユキ!!」
「あ、ハジメさん」
相変わらずの笑顔。
「こんにちは」
「おう、買い物か?」
「はい」
私もそれなりに笑顔。
「持とうか?」
「いや、大丈夫です」
「…ま、あんまり荷物なさそうだしな」
でも、その優しさに甘えることはしない。
少し不満そうなハジメさんの顔は見ないフリをする。
「こないださ、良かったぜ?」
「あ、そうか。来てくれてたんですよね」
大したことじゃないように。
でも、不快には思わせないように。
「ありがとうございます」
「おぅ」
ホントに、何人がこの笑顔に惹かれているんだろう。
そう考えると、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
(聞こえないラブソング)
いっそ私を嫌いになってほしいのに。