17
二日間、だ。
ひたすら何もしないで眠った。
携帯は切っていた。
時計は昔親から貰った腕時計を枕元に置いていたから、時間だけは正確だった。
頭が痛い。
多分、寝過ぎたんだ。
このまま死んじゃおうとか思えたら、多分ラク。
そんなこと、思わないんだけど。
でも誰にも会いたくない。
バイトが休みの時で良かった。
「(…ノド、渇いた)」
お腹も空いた。
二日の間、ろくに食事もしなかったから。
起きてると、考えてしまう。
ハジメさんに、好きと言われた。
ずっと好きだった赤石さんが好きになってくれた。
私は、逃げ出した。
涙は出ない。
あの日、傷つくことを望んだあの時以来、私は泣くことを忘れた。
久しぶりに携帯の電源を入れればタイミング良く掛かってきた電話。
「もしもし…」
『ユキ、やっと出たな』
「………おじいちゃん」
実のおじいちゃんでは無い。
私のおばさんが経営してるバーの常連さん。
お父さんの上司だったらしく、すごくよく面倒を見てくれる。
今住んでるアパートだって、おじいちゃんが斡旋してくれた。
赤石さんやハジメさん達が飲み仲間だっていうのを、そういえば随分と前に聞いた気がする。
『電話が繋がらないと、お父さんから連絡が来たぞ』
「…ごめんなさい。電話しておく」
『……赤石と何かあったか?』
「っ、なんで?」
『アイツの仲間から聞いたよ』
「そっ、か…」
おじいちゃんに隠し事は出来ない。
それは初めて会った時からそうだった。
『ちゃんと話しを聞こうか』
「うん」
『なら今から行くから、待っていなさい』
「うん。ありがとう」
『先に、お父さんに電話するといい』
「わかった」
(削除されたラブソング)
電話の向こうでおじいちゃんが小さく笑った。




