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熱は一日で下がった。
翌日も大事を取ってからバイトに復帰した。
週末に掛かったせいで学校にはしばらく行ってないけれど、どうせ明日は月曜だ。
「ありがとうございましたぁー」
馴染みだったCDショップでバイトを始めてから大分経つ。
渡されたポップを棚に飾りながらお客さんを見送った。
「いらっしゃいま、せ………ハジメさん…」
「よっ!今日は買い物に来たんだ。あんま気にすんな」
「そう、ですか。じゃ、私は仕事中なんで」
「おう」
ため息を飲み込んでカウンターに戻ればそこには店長しかいない。
「ユキー。アイツ、この前来た奴だろ?他の奴らが騒いでた」
「あー、まぁ。皆さんの思うような関係じゃありませんけど」
「ふーん……そりゃ、別に良いけどよ。アイツ、ずっとこっち見てんよ」
「は…?」
棚を隔てた向こうにいるハジメさんと目が合った。
が、すぐに逸らされた。
「……私には、何とも。それより、仕事無いんですか?」
「あったらくっちゃべってねーのよ。どーすっかなぁ、しりとりでもしてる?」
「……今日って日曜なのに、他にお客さんいないんですもんね。しりとりとか、どんだけ暇だよ」
「あー、しりとりじゃ絶対ユキには勝てねーもんな。あ、ゴミ捨て忘れてた」
「そんくらい私が行きますよ」
「お前は店番してて。ゴミ捨てのが楽だし、ついでに一服してくるわ」
「……いつか潰れますね、この店」
悪態をついて棚を見れば、ハジメさんはこちらに背を向けて商品を物色している。
かと思えばキョロキョロしてみたり。
「ユキ」
「あ、はい」
ぶっちゃけ暇な私は、ハジメさんに呼ばれてカウンターの椅子から立ち上がった。
「なんですか?」
「ユキってさぁー、普段何聞いてんの?」
「えー………気分でなんでも聞きますよ」
「前に歌ってたのは?」
「本物と比べるなんて、嫌がらせ以外のなんでもないですね」
「ははっ、なぁユキ、今日は何時だ?」
「6時ですけど……出掛けませんよ。一応病み上がりです」
「ダメか。じゃ、とりあえずコレな」
「はい」
ハジメさんは一枚、私が前に歌ったことのある曲を買っていった。
(無視を続けるラブソング)
ニヤニヤと笑う店長も無視だ。




