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一人きりの永遠の夜

真っ暗だった


夜寝るときは父、母、私、妹はベビーベットの順で寝る。


私は知っていた。夜遅くに母が家を出て行ってしまうこと。

このまま消えてしまうんじゃないかって、どこ行くんだろうって、不安で不安で眠れなかった。


いつも夜遅くまで起きている。


そして母と一緒に布団に入る。

毎日、毎日、母のパジャマの袖を握って。


母は気づかなかったと思うけど。


母が夜中起きるとき、大体私も起きる。握ってる手から袖が離れる。

そっと気づかれないように起きて母の様子を見ていた。


なんだか出かける準備をしている。


「…何やってるの?」

ビクビクしながら聞く。

熟睡している父。寝息をたててる妹。


「あら起きてたの。大丈夫だよ。どこにも行かないよ。ジュース買ってくるだけ。」

「本当に?一緒に行く。」

「ダメだよ。こんな夜に。ゆっくり寝てなさい。お父さんも起こしたらダメだよ。

疲れて寝てるんだからね」


優しい声で話しかけてくる。


「うん…。早く帰ってきてね」

「早く帰ってくるから。もう布団に入ってな」


布団に入った後、しばらくして玄関のドアが閉まる音がした。


たった一人だけになったような気がする。

また涙がでてくる。胸が締め付けられる。


『お父さんにバレてはいけない。起こしてはいけない。絶対にお母さんが帰ってくるまで待ってよう』


毎日、毎日、そう思って頑張って起きていたけど、気がついたら朝になっていて

いつも通り、母が家にいた。


「夜どこ行ってたの?今日の夜もどこか行くの?」

「その事は誰にも言うんじゃないよ。お母さんはジュース買いに行ってただけだよ」


怒りが伝わってくる。

朝はバタバタ忙しい。妹もお腹が空いているのか泣いている。


怖くてこれ以上何も言うことができなかった。



この母との約束は一生守り続けることになる。



幼稚園へ行く支度をして、風邪薬を飲んで、吐いて、叩かれて、

いつもと変わらない日常。


そして、変わらず母は夜いなくなることが多くそれが続いた。


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