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狂い

段々と自分が狂いだした感覚がした

学校、一緒に通っている友達。

なんとなく話を聞いていて思った。


自分の家が普通だと思っていた。

けれどなんか違う。


安定した基盤。幸せそうな形。いつも家族と話しているような雰囲気。



自分は違う。違う世界にいるみたい。



友達と話して同じ空間にいるのに、一人違うような感じ。


妹を連れて家へ帰る。



鞄から鍵をだす。



しーんとしている、掃除もあまりしていない少しぐちゃぐちゃな家の中。



何か私の心の中のようだった。



『何かあれば死ねばいい。それまでまだ頑張ろう。妹も、弟もいるんだから

お母さんだって、私をきっと必要としている。いらない子でも、あたるものがないから私なだけ』



強くそう思った。



妹に近づいていった。



「ねぇ…前にいた家に、戻らない?お金ならおねぇちゃんもってるから」



実際、給食費も自分で払っている私には計画的に貯めているお年玉がまだ結構残っていた。



「うーん、やだよ。お母さんと一緒にいたいもん」


「でもいつもいないよ?」


「でも待ってるもん」


「…」



妹と私は似ているようで似ていない。


妹は殴られない。殴られてもいない。


いつだか母親がなぜだかわんわん泣いて寝室行ったことがあった。



それを起こしに行ったのは、妹だった。



へらへら笑って。踊って。


まるでピエロのよう。



それに続いて、私も弟も一緒に行った。



でも一番必死だったのは、妹だった。



いつでも母を信じていたのは妹だった。


私はまだわからない。信じてはいけない。でも信じたい。自分の母親なんだから。




妹は一人で人形で遊び始めた。


私は勉強をした。こうやって勉強しても頭に入らない。


だからいつまでたっても馬鹿。


でもこうするしか今は方法はない。



幼い私はそう思った。妹の闇にきずかないふりをして。



午後6時頃、母が帰ってくる。


家の前に車が通るといちいち妹が


「お母さんが帰ってきた!…あっ違った…」


何回も言っている。でもその言葉を聴くたび、机に向かいながら

私も一緒になってわくわくしたりがっかりしたりしていた。


「あっ!帰ってきた!!」


その言葉に私も嬉しくなっていた。



でも帰ってくる母は、ぐったりと疲れていて



「なんで掃除してないの!なんで米といといてって言ったのにしてないの!あぁもう、ご飯ないわ」


怒鳴って怒っている姿が多かった。


そんなご飯がないときは、冷凍のご飯をチンして食べて急いで焼いて作っただろう肉と野菜を食べて

急いでご飯を食べた。


「さっさと食べな!片付かないでしょ!」


「…いいよ。私が片付けるから」


「あっそう?これから行くところあるからよろしく」


急いでバタバタまた出かける準備をしている。


「どこ行くの?」


妹がイライラしながら準備している母に聞いた。


「あんたに話してる暇なんてないんだわ!」


そう言ってバタンと強くドアを閉めた。



ドアの音がやけに響いて、なぜか胸が締め付けられるように痛かった。



母と一緒に帰ってきた弟は無邪気にご飯を食べていた。



私はどうすればいいのだろう。



一人暗闇に佇んだ。



母はどうしたら目を向けてくれるんだろう。


そう思った


私の寂しさ。孤独さ。両親を憎む黒い気持ち。学校での様々なイジメ。空虚感。


そのどうしようもない憎悪包まれた気持ちの矛先は、愛情を深く注がれているように見える弟にいることになる。



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