母
家の中
「うわわわあぁぁっっ!!」
母が泣きながら悲鳴を上げて帰ってきた。
私が4年生の頃だった。
何があったんだ。
「・・・どうしたの?」
恐る恐る静かに聞いた。
「ほっといって!!」
私を睨み付けた母はそう言い放った。
学校では私は友達はいたけど、転校してから毎日といっていいほど
陰口、ノートには『馬鹿、死ね』という文字。
靴、筆箱もなくなることもあった。
トイレではトイレの掃除で使うほうきで叩かれ、
教室の掃除をするときはチョークの砂を頭からかけられたり
もっぷで頭から誇りをかぶせられたり
そんなのが日常茶飯事。
妹だけが救いだった。
「おねぇちゃん。死にたい」
元気で明るい妹そう言った。
「何言ってんだよ。おねぇちゃんがいるから大丈夫だ」
そう言って、妹が友達の家に言った後
カッターを握っていた。
無意識で手首が近くにあったから切ってみた。
ぼーっとしてた。
『おねぇちゃん。死にたい』
そんな言葉が頭の中で連呼する。
『うわわあぁぁぁあ』
母の悲鳴が頭の中に響く。
手首からは血が流れてた。
なんでこんなことしたのかわからないけど、
ぼーっとみてた。
流れてる。
全て流れればいいのに。
ぼーっとそんな事を思っていた。
夜6時父が帰ってきた。
母は泣きながら家を出て行った。
父は何も言わなかった。
妹は違う部屋にいてわからなかったと思うけど。
「死にたい。由利。」
ビールを一口飲み、父は言った。
なぜみんな私に言うのか。
「…死ねば?」
思わず言った。
「そうだな。」
苦笑いで父は言った。
『死にたい』
『死にたい』
『死にたい』
頭が痛い。
また手首を切ってみた。
みんなの言う、『死にたい』が流れていくようなきがした。
お風呂に入る。
ザブンっと波が大きくうねった。
『うわああああああっっっ』
死にたい。死にたい。死にたい。
お湯の中で叫んだ。
私はどうしたらいい?
殺せばいいの?
私今生きてるの?死んでるの?
それさえもわからない。
手首が少しじんじんする。
このままお湯の中にいれば死ねる。
だまって、もぐってみた。
苦しくてすぐ頭を出してしまった。
声を殺して泣いた。
苦しいよ。消えたい
私には死ぬ勇気が無い。
誰か助けて。
心の中でつぶやいた。