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百二歳で大往生した葬儀屋、異世界で亜神として二度目の人生を始める〜最強葬儀屋、銀の杖で世界を安らぎの葬送に染め上げる〜  作者: 榎木丈


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愛執の解読

「彼女が成仏できないのは、あなたが『怪物』に成り果てようとしているからです」


 終は固有能力(スキル)未練の解読リーディング・レクイエムを使い、第一夫人が遺した想いの断片を、ヴィンスの脳裏に直接流し込んだ。

 溢れ出したのは、ヴィンスが記憶の底に封じ込めていた「温かな母の感触」だった。

 不器用で、弟のような華々しい才能がなく、いつも父に認められようと空回りしていた幼い頃のヴィンス。母はそんな彼を、一度として否定したことはなかった。


『ヴィンス、あなたはあなたのままで良いのですよ。人を愛し、愛される人になりなさい』


 その言葉を裏切り、平民を虐げ、選民思想という鎧を着込むことで、彼は「母が愛した自分」を殺し続けてきたのだ。弟への劣等感を隠すために、第二夫人を母の代わり(かわり)として認めず、徹底的に無視することで復讐していたのだ。


「彼女は、あなたが自分自身を憎み、孤独な死へ向かうのを止めるために、この酷寒(こっかん)の地のような屋敷に留まり続けていた。……葬儀屋として申し上げます。死者にこれ以上の供物(くもつ)を強いるのは、非道というものです」


 ヴィンスは声を上げて泣き伏した。自分の傲慢さが、誰よりも愛したかった母をこの世に縛り付けていたという事実に、彼は子供のように慟哭(どうこく)した。

 終はその背中を冷たく、しかし確かに見守りながら、次なる「仕事」のために視線を領主の執務室へと向けた。

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