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絶域の魔装を手に入れた学園落第者、世界に逆らい救世主となる  作者: 遥風 かずら


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08 隠された世界と思惑、そして

「嘘を言うな! 俺たちはその地上からやって来たんだ! それも、怪我をした女性の導きでだ!」


 途中で消えてしまったが、おそらくここの人間のはず。


「怪我をした女性……? それは悪いことをした。その女性もニセモノ、投影機で見せた女性に過ぎない。ジオフロント計画地で会ったか?」


 あれだけリアルに見えていてしかも、話が出来ていた女性が投影機で作り出された女性だったっていうのか?


 しかし、考えてみると会話がきちんと出来ていたかどうかは自信がない。


「そうだ。最初の地下……テーマパーク計画があった場所だ」

「なるほど。そこまでしか行けなかったか……」


 この言い方、まるで地上へ出るための実験でも行っているかのような口ぶりだな。仮にそうだとしても、俺たちと遭遇したのは偶然か?


「それとあの機械兵と精霊人間みたいな連中は?」

「機械兵はかつてロボットとして活躍していた名残たちだ。プログラム通りにしか動かないから、お前には単純な攻撃しかしてこなかっただろう?」

「……ああ」

「壊されるのが先か、機械寿命が先か……別にどちらでも構わなかったが、逸器が破壊してくれたのであれば問題ない」


 ここからジオフロント計画地下への距離はかなり離れている。それなのに、機械兵や偽の女性を使ってあそこまで出してきたということは、地上へ出るための布石を打つためだったのか。


「あ、あのぅ……逸器と戦っていたあの異能使いたちはなんだったんですか~?」


 俺の話に入りたくて仕方がなかったのか、莉々が話に加わってくる。それも、男が聞き逃した精霊人間についてを。


「……アレらは、異能を使う人間たちを人為的に生み出そうと異世界の精霊を無理やりに従わせてるAIの仕業だ……」


 異世界の精霊だと?


 異世界帰りの俺がすぐに気づいたのもやはりそういう意味だったのか?


 それもあまり聞きたくなかった答えとして。


「じゃ、じゃあ、本物の精霊さんの……!」


 そんな話、莉々には聞かせたくなかった。感情豊かであまりに純粋すぎる子なのに、精霊の可哀そうな話なんて!


「精霊を異能使いの人間にしようとした、成れの果て……失敗作だ」

「ふざけるな!! 異世界の精霊だと? 異世界からどうやって連れてこられる! 俺は転生で帰ってきたんだぞ! それなのに……!」


 絶域と呼ばれるとんでもない辺境の地で精霊を眷属とした魔装を手に入れ、そのうえで現代に戻ってきたというのに、まさか違う世界を構築しようとした奴がいたっていうのか。


「我々にもいたさ。お前のように異世界帰りの人間がね。だが、そいつは逸器とは異なる世界にいた奴だ。異世界にも色々あるみたいだからな……そしてそいつが地上の奴らを騙し、AI共存といった世界を作ろうとしている。それが真実だ」


 異能持ちの少年少女を何気なく学園に通わせ、育成し、それから戦力に組み込む――それがAIの奴らの狙い。


「なら、俺と莉々をここにおびき寄せたのは何故だ?」

「そ、そうだよ! AIだとか精霊だとか、そんなのを聞かされてもわたしたちは何も出来ないよ?」


 よく言った、莉々!


 勝手な真実を聞かされて立ち直れないと思ってしまったが、案外強い女子だった。


「まぁ、俺なら何とか出来るけどな」

「わたしだってアイドルとして配信出来るもん!」

「減らず口だな、全く」

「そのお言葉、そっくり返すし!」


 俺と言い合いが出来るうちはまだ大丈夫そうだな。


 そんなことより、ここに残っている人間たちには異能もなければ特別なスキル、それこそ魔法といった力を持たないはず。


 それこそ遺物を使うことくらいしか抵抗出来ていない。そんな連中が俺たちを狙った理由は何だ?


 本当に何か出来ると思って誘ったのか?


 そうだとすれば、旧世代の人間たちの救世主になってしまうのではないのか。俺はそんなのは求めてないし、救うつもりはない。


 だが。


「……助けてくれ――そんな都合のいい言葉を使うつもりはない。だが、何も知らない地上の者たちは、いずれAI世界にのみ込まれる。その時間が迫ってきている。それだけは分かってもらいたい。そして、ここに残された者たちは偽の世界ではなく、真実の世界に戻りたいと願っている」


 それが願い、か。


「異世界帰りで魔装が使える俺と癒しの異能が使える莉々なら、それが可能だとでもいうつもりか?」

「え? ええ? そ、そうなの? わたしと逸器のお似合いコンビが世界をどうにか救っちゃう系? それって面白そう!」

「……楽しそうで羨ましいな」


 魔装化は肉体強化、スキル強化などなどが出来る。だが、AI相手でどこまで通用するかまでは今のところ全く分からない。


 しかし、ここに隠れ住む彼らはそれが可能なのは俺と莉々だと信じている。そうでもなければ、こんな大深部にまで誘うわけがないからな。


「意外だな」

「……ん?」

「賢いのは莉々さんかと思っていたのだが、逸器。君の方だったとはな」


 男の言葉を聞いて莉々だけは照れくさそうにしている。


「はっ、今頃気づくかよ。異能力は最低かもしれないが、俺には魔装がある。初めから俺を頼れば良かった話だろ! 俺も莉々も、AIだとかの世界に興味も関心もないが、面倒な学園生活になるのだけは嫌でね。別にあんたらを助ける義理も恩もないが、俺たちは地上に戻る……そのついでに思惑に乗ってやれないこともない」


 ぶっきらぼうに言い放った俺に対し、男そして他の大人たちも一斉に頭を下げている。


 ……仕方ない、大人にここまでされたらやるしかないだろ。


「頭を下げられてもって話だが、俺たちはどうすればいい?」

「わたしも協力しま~す! よく分かんないけど、逸器がやれるならわたしも出来ます~!」


 俺には魔装があって、ついでにケンカ無敗の強さがあるのに莉々には癒しの異能だけじゃないか。


「心強い少年少女たちに感謝する。それでは、地上へ送るとしよう」


 ……送るような装置だけは残っているみたいだな。


 もうあの延々と続く階段と暗闇空間だけは、正直言って勘弁してくれ。


「感謝されるためじゃない。そして約束も出来ない。それでもいいんだよな?」

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