蛇足:話を聞いた〝私〟の考察
以上が「見ると願いが叶うテープ」を見た友人の身に起こった一部始終である。
確かに私のような者にでなければ言えない出来事だと解るが、テープの内容は、先輩やそれ以前に見た人たちと内容が同じはずがない、
つまり見る人によって内容が違う、心霊ビデオテープなのだろう。
そして私が考えるに、このテープは自分の恥ずかしいこととかみっともないことを当人に突きつける愉快犯的な内容で、本人には笑えないキツい内容なのは解るが、もっと邪悪なテープだったらどうなるか。
人は誰しも、やらかしてしまった行為者として、相手も自分も心が傷ついて、やり直したい過去や消したい記憶の一つや二つは持っているだろう、それを突きつけられたら、たとえそれが無かった事として過去を改変されても、自分の記憶は消されず、償う可能性もゼロになって、立ち直れないまま生きていくことになるのではないか。
まあ図太い神経の者ならそうなったら(ラッキー!)と一切を忘れて気軽に生きていくのかもしれないが、記憶はいつ蘇るか当人にもコントロールできそうもないので、それはそれで厳しいのではないか。
その後テープを私に持ってくることはなく、女性にも渡したふうではなく、どうしたのかは不明であり、私も聞くつもりはない。