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上中下の中:渡されてすぐに見るわけではない
テープを渡されてすぐに再生はしなかった。私だっていろいろ忙しいのである。しかしさまざまな仕事している間にもテープのことは気になっていたことは確かだ。
しばらく経って用事が全て終わりぽっかりと空いた時間、テープを前に考え込む。
叶って欲しい願い事はある。命を取られるわけじゃないというのはかなりの魅力だ。先輩だって生きているわけだし、再起不能になったわけではない。
自分に都合の良いことしか頭に浮かばないというか、懸念は残虐動画の猛者があそこまで弱気になっているというくらいで、危機センサーの働かせようがないのだ。
再生ボタンを押して数秒の暗転の後、一人がベッドから身を起こすのが映った。
ここまでを読んで、「私だったらそんな気持ちの悪いテープは見ない」という人、神様のご加護がありますように、見ずにテープを焼却したとして読むのを終えてください。