HO2 ヘイビアの生
ヘイビアの性にすべきか
一瞬迷いましたが
この作品はシリアス路線で行きます
「オンリーマイレールガンには決定的な弱点がある」
「決定的な弱点?」
「決定的というより致命的というべきかもね。クエンサーが何箇所かに粘着爆弾を切り分けて設置していたでしょ? その爆破により導き出された答え」
「何だよその答えって」
ヘイビアの素直な問いに、調子を取り戻したフローレイチアさんは妖艶に微笑む。
「レールガンに金を掛けすぎたんでしょうね。そこ以外の守りが甘い」
「守りが甘い?」
「データをデバイスに送るから確認して」
ヘイビアはデバイスを起動させ、そこに送られた情報に驚く。確かに部分的に装甲が損傷している。ヘイビア達歩兵にとっては僅かな、しかし確かな綻び。
「お姫様にも勿論同じデータを送り、今まさにその弱点を突こうとしている。後はお前の出番だ、レーダー分析官ヘイビア・ウィンチェル上等兵‼」
クエンサーが遺した情報。それをお姫様が利用し、ヘイビアが
「任せろ‼」
破壊の確率を爆発的に上昇させる。確実な破壊。それこそがクエンサーへの贐なのだから。
クエンサーの戦死と、彼の遺した戦果により、フローレイチアさんは少佐から大佐へ昇進し、お姫様は女王様と呼称されるようになった。そしてヘイビアは
「おそいねヘイビア」
「ああ、せっかくの祝勝会なのにな」
女王様となったお姫様の呟きに、大佐となったフローレイチアさんは答える。女王様はクエンサーの死を一番惜しんでいたが、やはりディアブレイブを操るキングスというべきか、すぐに立て直しいつものように戦場に戻って行った。フローレイチアさんも少し落ち込んでいたようだが、彼女は根っからの軍人ゆえにその強靭な精神力で乗り越えた。ならば、ヘイビアは
「わりーわりー、遅れた。いやー、やっぱレーダー長ともなると部下のこととかで忙しいよなー」
レーダー長となったヘイビアは、颯爽と二人の下へ現れた。
「ヘイビア、もうへいき?」
「ん? 何が?」
恐らく理解しているだろうに、女王様の心配を他所にヘイビアは白を切る。女王様は少しむっとし、ヘイビアは少し動揺する。
「はは、冗談冗談。確かに相棒は死んだし、これからどうすりゃ良いかもよく分からなくなってきた。元々は武勲手に入れるために軍人になったのに、こんなに偉くなって辞めるに辞めれねえしよ」
ヘイビアの言葉には真に迫るものがあり、二人は少し顔を伏せる。
「でもま、アイツが生きてたら言うよな。『俺らは二人で一つなんだから、一人でも生きてる限り死んでない。死んでないなら生きるしかないんじゃないのか。というか、お前は俺と組むために軍人になった訳じゃないだろ。初心を見失うな。クエン子ちゃんはあの世でメイド服着て待ってるぞ。頑張れヘイビア』ってな。くそ、アイツのせいで俺まで臭え奴みたいになっちまう。アイツの真似してるだけなのによ。くそう」
ヘイビアは凄く悲しそうな、悔しそうな顔で必死に涙を堪えた。泣いたらアイツが浮かばれない、とかではなく単純に泣くのが恥ずかしかったのだ。クエンサーにあの世で笑われそうな気がして。待ってろクエンサー。武勲とAV持ってそっちへ逝くよ。いつか、な。心の中でそう呟き、ヘイビアは顔を上げた。
いやあ、重苦しく暑苦しい作品でしたね
疲れました
ヘイビアの心情を汲み取ると疲れます