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されど服  作者: 高見香里奈
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「野沢さん……?」

「偶然ですね。僕は近くで取材があってこっちに。そうだ、今度よかったら一緒に飲みに行きませんかか?」

「ぜっ是非」

 嘘。嬉しすぎ。

「じゃまた、連絡します」

 そう言って野沢さんは爽やかに笑った。

 歯並びまで綺麗だ。かっこいい……。数分の出来事だったが、私は気持ちがふわふわと舞っているような感覚になっていた。

 そんな気持ちで百貨店に向かう。

 Marrisaの店に入り、店内を見渡す。有紗ちゃんの姿を見つけて安心する。

 彩菜の作成していたページを思い出す。エッフェル塔のページに載っていたファッション。

 こんにちはー有紗ちゃんが私に気がついた。

「彩菜に似合いそうなパリっぽい服、ありますか」

「彩菜さんがお似合いになられそうなパリっぽい服……」有紗ちゃんはそう呟き、一瞬考えこむ。

 数分後、有紗ちゃんはフリルブラウスとシャツワンピース、ボーダーのトップスを持って来た。

「こんな感じはいかかでしょう」

 彩菜っぽいな、と思った。よく捉えている。

 ショートカットでクールなイメージの彩菜に似合いそうだ。どれもいいから決めかねる。

 お勧めを聞くことにした。

「彩菜さんはパンツスタイルが多いので、ブラウスが良いかと。オールシーズン着れて、着回しもききますし……」

 有紗ちゃんの一言で私はフリルブラウスに決める。

 プレゼント用にラッピングされたリボンのついたMarrisaの紙袋を受け取った。

 その夜、家のインターホンが鳴ったので、インターホンのモニター画面を見た。スーツを着た男性が映し出されている。その男性は雄一だった。

 はっ? 何?

 居留守を使おうか。悩んでいると、モニターの画面が消えた。

 一体何の用だったんだろう。

 翌週、私は仕事終わりに野沢さんと飲みに行く約束をしていた。

 待ち合わせの駅の改札に行くと野沢さんの姿が見えた。

「店予約してるんで行きましょうか」

 リクエストした焼き鳥のお店はモダンで落ち着いた雰囲気の店だった。お酒も料理も美味しく、何より野沢さんとの会話が楽しい。

 会話も弾み、楽しい時間を過ごした。

 また行きましょう、と改札で野沢さんと別れた。そういえば雄一以外の男性とデートするのは久しぶりで、とても新鮮な気分だった。

 また会いたいな。


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