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されど服  作者: 高見香里奈
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 彩菜が脚を骨折して入院したという連絡を受けたのはその日から四日後だった。脚の痛みが治らないため、病院でレントゲンを撮ると骨折していた。彩菜は二ヶ月の入院を余儀なくされたそうだ。

 私は心配になり、すぐに彩菜の入院先の病院に向かった。

 受付を済ませ病室に入ると彩菜は眼鏡をかけてスマホを触っていた。

「彩菜大丈夫?」

「うん。恭子ありがとう」

 そう言った彩菜は元気がなさそうだ。

「初めてのパリ出張、行けなくなっちゃった。パリ出張にずっと行ってみたかったから決まった時、すっごく嬉しくて。ほんと落ち込んでる。夢だったんだよね。昔からの」

 そう言って彩菜は涙を流した。

 彩菜はフリーランスのカメラマンをしていて、ファッション雑誌の撮影で同行する予定だった。珍しく彩菜の落ち込んだ姿を見て、私はなんて声をかけたらいいかわからなかった。

「またチャンスはあるはずだよ」

 そう言って私は差し入れのクッキーとファッション雑誌をそっと置いて、別れの挨拶をし、病室を出た。


 数週間後に再び彩菜を尋ねた。病室を開けると彩菜は私の渡したファッション雑誌を読んでいた。

「入院中、ずっと退屈だったんだけど、恭子が持って来てくれた雑誌で切り抜き作業始めたら楽しくて。これ」

 彩菜に差し出されたノートを開けると、雑誌の服が切り抜かれノートに貼られている。

 彩菜の好きそうな洋服がセンス良く貼られていて、まるで彩菜のクローゼットの世界みたいだ。

「始めると止まらなくなるんだよね」

 彩菜は愛しそうにノートをめくった、

 ノートをめくると、エッフェル塔が書かれていて、そこに洋服が何着か貼られていた。

 フレアスカートやブラウス。パリジェンヌのようなファッション。

 前回来た時よりも彩菜が元気そうで安心した。差し入れとして持って来たチョコレートとファッション雑誌を置いて帰った。

 帰り道にふと彩菜が来月誕生日だったことに気がついた。

 来月お祝いしよう。プレゼントは何をあげようかな……。

 そんなことを考えていると名前を呼ばれた気がして振り向いた。

「恭子さん?」

 相手を見て身体が固まった。

 相手は美容院で私に取材をした野沢さんだった。


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