66
「じゃ、撮りますね。僕が質問していくんで答えていってください」
野沢さんがカメラを向けて言った。
「はい」
「今日のファッションのポイントはなんでしょう?」
有紗ちゃんが接客の時に言っていた言葉が浮かんだ。
「普段選ばないネイビーに挑戦しました。ネイビー一色だと地味になり過ぎちゃうので、地味にならないように小花柄を選びました」
そう言って私は事前に指示されていた通り、くるりと身体を一周させ、ポージングをしカメラに微笑んだ。
「ありがとうございました! 良い感じのものが撮れました! また詳細については連絡させていただきます」
美容院の帰り道、私の前に手を繋いだ男女が仲良さそうに歩いている。本当だったら私と雄一はあんな感じで週末を過ごしていたのにな。そんな寂しさが一瞬よぎった。
ワンピースのポケットに違和感を感じたのでポケットに手をいれる。カードのような手触りがした。
取り出してみるとそれはさっき野沢さんからもらった名刺だった。
「そういえば」
受け取った名刺を仕舞うところが無かったので、ポケットにいれたんだった。
それにしても、野沢さんかっこよかったな。顔がニヤついた。




