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されど服  作者: 高見香里奈
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「あそこがMarrisaだよ。かわいいでしょ」

 彩菜が指した指の先には、白のフリルブラウスにセンタープレスパンツ、ツイードの赤のワンピースを着たマネキンがどやっと言わんばかりに店の前に立てられている。

「うん、なんかきらきらしてる」

 店内は水色の壁に白いフレンチテイストの家具で統一され、まるでパリのホテルのようだ。

「こんにちは!」

 先日会った有紗ちゃんがこっちに歩いて来た。

 かわいい。今日は髪を下ろして、パンツスタイルの有紗ちゃん。外のマネキンが着ていたブラウスにグレーのパンツを合わせている。

 パンツも似合う。前回とイメージががらりと変わっている。

「来てくださったんですね。ええっと恭子さんですよね」

 名前覚えてくれていたんだ。なんだか嬉しい。

「恭子に似合いそうな服ある?」

 彩菜が言った。

「えっ、ちょっと」

 恥ずかしいよと言いかける。私は店員さんとあまり話して買うタイプじゃないんだけど。

 そう思う反面わくわくしていた。

 客観的に見て今の私が似合う服ってどんな感じだろう。

 有紗ちゃんが私を見て、すぐに店のラックの方に向かった。

「恭子さんは、身長もあられるので、こういうロングワンピとか、ロングスカートがお似合いになられそうです」

 そう言いながら有紗ちゃんは手に小花柄でネイビーのシフォンのロングワンピースと黒のチュチュスカートを持ってきた。

「えっ? これ私に?」

「はい、お似合いになられそうだなって。どうでしょう」

 エレガント……。私は普段、デニムにニットやTシャツとかカジュアルファッションが多いんだけど。

「着てみなよ」

 彩菜が言った。

 こんなジャンルの服着たことがない。せっかくだし、着てみようか。

 フィッティングルームに入り、手渡された服を中のフックにかけた。

 ワンピースとチュチュのロングスカートとシンプルな白のTシャツ。

 まずワンピースを着てみよう。

 室内に映る今日、自分が着てきた服装を見た。

 毛玉ができた厚手の黒のニットにストレートデニム。ふたつともかなり昔に購入したものだ。

 服を脱ぎ、ワンピースに袖を通す。するりと肌になじむ素材で、着心地も良い。サイズもちょうど良さそうだ。室内の鏡を見た。

「わっ、なんか大人」

 胸が高鳴るのを感じた。


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