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家に着くと電話が鳴った。携帯を取り出し画面を見た。
雄一と表示されている。これで本当に終わりにしよう。
「もしもし」
「恭子? あ、俺。この前は誤解で……」
「はっ?」
「そういえば妹が来てたんだよ」
「はぁ?」
この言い訳、何回目でしょう。
前にもリボンのヘアゴムが雄一の部屋に落ちていて、妹が来たって言ってたっけ。
その前もマスカラが置いてあって……。
浮気を疑われたら同じパターン。妹が来てたって。今ならわかる。全部嘘だったということが。
私は雄一と一緒になりたい一心で現実から目を背けていたのかも。
「もういいよ。嘘ばっかり。別れよう。さようなら」
電話を切った。
あっけない。
まだ嘘をつき続けている雄一への怒りと共に雄一の人間性の薄っぺらさを感じ、悲しくなる。
謝罪の電話かと思いきや、私はあんなクソ男と三年も過ごし、将来を考えていたんだ。
途端に雄一が軽薄で中身の無いしょうもない男に思えてきた。
いつからあんな風になったんだろう。
そう思うと涙がでてきた。付き合い始めの頃はかっこよくて優しくておもしろくてそんな雄一が大好きだった。
でも……。私は冷静に雄一を見ていなかったかもしれない。将来にあせっていた。浮気の度に嘘をつき続ける雄一を見て見ぬふりをしていた。
私は変わろう。もう、雄一に依存はしない。




