表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
されど服  作者: 高見香里奈
6/78

6

 従業員専用の更衣室にはロッカーがたくさん並べられていて、一人一個、ロッカーが割り当てられている。

 朝の出勤時にこの更衣室に向かい、制服に着替える。

 店が狭いところは鞄が邪魔になるのでここのロッカーにいれて、必要なものだけを鞄から抜き取り、

 小さめのトートバッグかそのブランドのショップ袋に入れ替えて持ち運ぶのだそうだ。

 私は早速、昨日店長からもらった、ピンク地に白の文字で『Marissa』と印字されているショップ袋にメイク道具

 や携帯電話等をいれた。

 昨日試着したブラウスとスカートに着替える。全身鏡が置かれていたので、全身を確認する。

 今日早起きして巻いたポニーテールの髪が、良い感じに馴染んでいる。

 さっ、行こう。

 ショップ袋を持ち、従業員エレベータに向かった。


 副店長の吉野さんに店のそうじの仕方、パソコンのシステムの説明を聞く。

「ここに商品の番号を入れると在庫がでてくるんだ」

「はい」

「私は今から百貨店の全体朝礼にいってくるから。入力して在庫を検索してみて。あっ、やばい。遅れる」

 そう言って吉野さんは朝礼に行ってしまった。

 店内のそうじは百貨店の清掃員の人がやっていると思っていた。お店の店員さんがしていたんだ。

 向かいの店舗を見ると、黒の透け感のあるドレッシーなシフォンワンピースを着て、

 鏡を一生懸命に拭いている女性店員の姿があった。

 鏡を拭くたびにさらさらのその女性店員の黒いストレートの髪の毛は揺れている。

 美しい洋服を着ながら掃除をしているという姿に違和感を感じた。

 いつも綺麗なお店のイメージは店員さんがきれいに見せてくれていたんだ。


「朝礼しよっかー」吉野さんが戻ってきた。

 百貨店での朝礼とは別に、店での朝礼も毎日しているらしい。

 昨日の店の流れや、本社からの指示、連絡事項をシェアするようだ。

「北岡さんは今日、朝から研修で、昼から店頭に立ってもらうから頑張ってね」

 朝は百貨店の研修と筆記試験。

 それに合格すると百貨店のピンバッチがもらえる。このピンバッチとネームプレートを胸につけるのだそうだ。

 突然館内に爽やかなピアノの音色が流れた。

 パソコンを触っていた吉野さんが突然その作業をやめ、店の入り口に立った。

 えっ? どうしたの?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ