56恭子と服
【恭子と服】
「ねぇ、どうしたらいいと思う? ねぇ?」
私は涙と鼻水で溢れた顔を、テッシュで拭った。
「だーかーらーもう別れたんだからどうもこうもないって。あんな男だめだよ。前から言ってるけどどこがいいのかわかんない。恭子にはもっといい人がいるって」
彩菜が電話越しに呆れた声をだした。
私は二十四歳から三年間付き合っていた彼氏と別れた。
もう元彼となってしまった雄一は二十三歳の時たまたま、居酒屋で友達と飲んでいた時に声をかけられて仲良くなり、付き合い出した。
雄一は顔面がかっこいいって感じじゃ無いけど、ヘアスタイルや服装にも気を遣っているせいかお洒落で都会的な雰囲気が漂っていた。
付き合って三年目。私も雄一も今年で二十七歳になる。一年前くらいから友達の結婚式に呼ばれることが多くなっていた。
久しぶりに会った友人達に雄一のことを話すと、大体こう聞いてくる。
三年付き合ってるんだー。結婚とかは?
こう聞かれてなんて言えばいい?
雄一にそれとなく聞いてみたけど、やんわりとまだ早いみたいなことを言われた。
早くないよ? 私二十七歳ですよ? 適齢期ですよ?
なん、て責めることなく、雄一を観察し続けた結果、浮気が発覚したのだ。
そう。三日前。毎週金曜日は雄一の家でご飯を食べてゆっくり過ごすというのが私たちの定番となっていた。
だから三日前の金曜日もいつも通り、雄一の家に行って、映画を見ながらテイクアウトしたカレーとチーズナンを楽しく食べる予定だった。
雄一の家に着き、手を洗おうと洗面所に行くと、私の物では無い、ピンク色の歯ブラシが洗面所の隅に置いてあった。その横には女性用のヘアクリップ。




