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されど服  作者: 高見香里奈
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 冷凍庫を開け、冷凍の野菜スープを取り出した。レンジで温めたスープを皿に入れた。

 スープをすくいながら部屋を見渡した。封を開けていない同じ紙袋が床に何個も無造作に置かれていた。

 食事をを終え、恵理子はその紙袋の一つを手に取る。中身は何がはいっているかわからない。封を開け、中のものを取りだした。いつ買ったか思い出せないし、何を買ったかも思い出せない。そんな自分に恵理子は驚いた。

 物を買うということに、ただ満足をしていたんじゃないだろうか。買う瞬間はものすごく必要な物で、買わなければならない、買わなければ幸せになれない、そんな風に感じて買っていた。封を開けながら恵理子はそんなことを思う。

 中身を取り出すとホワイトのパンプスがはいっていた。確かに見覚えがある。いつ購入したものだろうか。パンプスを床に置いた。

 違う紙袋に手を伸ばし中身を取り出す。

 ピンクのスカートと黒のニット、ホワイトのパンプスがはいっていた。そういえばこのセットで買ったような気がする。それは先ほど恵理子が紙袋から取り出したパンプスととてもよく似ていた。大きめの紙袋に手をのばした。ピンクのスプリングコート、ネックレス、スカート、デニム、ホワイトパンプス、鞄がはいっていた。なんのために、こんなにたくさんセットで買ったのだろうか。また、ホワイトの似たようなパンプスはこれで三足目である。恵理子は不思議に思う。まるで誰か別の者が購入したかのようだ。残りの紙袋も全て取り出していく。やはり似たようなスカートやニットが紙袋からでてきた。買い物をしていた時はどうしてもそれを買わなければならない、そんなある種の中毒症状のような状態に陥っていた。今は自分を俯瞰して見ることができる。

 取り出した服をクローゼットにいれ、似たような物を紙袋にまとめ、フリマサイトに出品する。


 机の隅に束となり、無造作に置かれた封筒やハガキを恵理子は恐る恐る手にとった。今まで見て見ぬふりをしていたもの。重要と書かれたその葉書はカード会社からの支払いの催促状だった。口座残高が足りず、引き落としがされなかった。一枚、また一枚と恵理子は葉書と封筒を手に取っていった。これも自分ではない誰かのもののような気がするほど、現実味が無かった。何をこんなに買ったのだろう。給料は十分もらっていたはずだ。なのにどうしてこんなことに……。蓄積するとみるみるうちに膨れ上がり、手遅れになる。それは恵理子の精神的ストレスも同じだった。

 さぁ、これからどうしようか。恵理子は数日間、家でゆっくり過ごしながら考える。


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