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されど服  作者: 高見香里奈
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 明後日は休みなので、午前中は企画書を作成し、午後は、Marrisaに行こう。恵理子がそんなことを考えながらクライアントへのメールを打っていると、柳田が恵理子に声をかけた。

 「川田さん、明後日出張ね」

 恵理子は柳田に出張は聞いてないと伝えたが、この前言ったと思う、と言って部屋を出て行ってしまった。正しくは言い忘れていたのだろう。それに出張先は柳田の管轄エリアである。面倒なクライアントを恵理子に押し付けているのだ。

 時計を見るともうすぐ退勤時間だった。今日は早めに退勤し明後日行く予定だった百貨店に向かおう。恵理子はそのことに意識を集中することにした。


 「いらっしゃいませ」この空間に恵理子は酔いしれる。

「スカートを」

 カード、カード、カード。このカードなら大丈夫。まだ、大丈夫、自分はまだ大丈夫。

 いつものように自分に言い聞かせる。

 恵理子はスカートと追加で白のパンプスを購入した。


 翌朝、目が覚めると身体が思うように動かない。

 まるで体と意識が分離しているような状態だ。

 もう、だめだ。起き上がれない。耳元で響く上司の声。嫌味な柳田の声と意地の悪そうな表情。クライアントからの無茶な要望、理不尽なクレーム。

 身体と精神が限界にきていた。恵理子はようやく今、気がついた。前々から恵理子の身体と心は悲鳴をあげていたのだ。

 恵理子はその日から仕事を数日間休んだ。入社して久しぶりに休みをとった。有休も溜まっていた。恵理子はそのまま眠った。こんなに眠ったのはいつぶりだろうか。ぐっすりと眠り、目を覚ました時には、夕方になっていた。休んだせいか疲労が軽減され、体調が良くなったようだ。

 病院に行くと医者からは休養を勧められた。ストレスによる疲労だと言われた。数日間眠ったり、テレビでバラエティ番組を観たりと時間の経過を気にせずに、ゆっくりと過ごした。日が経つにつれ、体調が良くなるのと同時に、忙しさでぼやけていた意識がはっきりしてきたような感覚になった。恵理子は空腹を感じ起き上がる。冷蔵庫の中を見たが紙パックのアイスコーヒーだけしか入っていない。


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